野いちご源氏物語 三八 夕霧(ゆうぎり)

すぐに小野(おの)へ向かおうとお思いになるけれど、今日がご結婚には縁起(えんぎ)の悪い日だと思い当たられる。
<どうせ(みや)様は会ってくださらないだろう。一方で御息所(みやすんどころ)はお怒りだ。どうしたらよい。もし御息所がご結婚をお許しくださっても、今日では縁起が悪い。やはり今日は行かない方がよいだろう>
真面目すぎるご性格だから、お返事だけをお送りになる。
「めずらしいお手紙をありがたく拝見いたしましたが、お(しか)りは何をどうお聞きになってのことでしょうか。たしかに一昨日の夜はそちらに泊めていただきました。しかし、宮様の品位(ひんい)を傷つけるようなまねはけっしてしておりません。こんなことをわざわざ申し上げるのも(みょう)な気がいたしますが、やはりはっきりさせておいた方がご安心かと存じまして」

御息所()てにそうお書きになると、宮様宛てにはもっと長く書いて、お使者(ししゃ)にお預けになった。
「『昨夜から今までずっと六条(ろくじょう)(いん)にいて、お手紙を受けとれず、それでお返事が遅れました』と申し上げよ」
その他にもご伝言をひそひそとお命じになる。