<男女として始まった関係ではないのだから、突然求婚めいたことを申し上げるのは気恥ずかしい。ただ深い誠意をお見せしていれば、いつかお心が解けることもあるだろう>
焦らずに将来を期待なさっている。
世間から見て不自然ではないように宮様のお世話をして、さりげなくご様子をうかがわれる。
奥ゆかしい宮様は直接お話しなどなさらない。
<どのような機会なら直接この思いをお伝えして、お言葉をいただけるだろうか>
そわそわしていらっしゃると、母御息所が重病になって、小野という山里にある別荘で療養されることになった。
お祈りが得意な僧侶が山に籠って修行をしていて、都まで出てくることはできないけれど、山里の別荘なら下りてきてくれることになったの。
その僧侶のご病気回復のお祈りをお受けになるために、御息所と女二の宮様は別荘へお移りになる。
乗り物やお供などは大将様がご用意なさった。
亡き衛門の督様の弟君たちは、ご自分の生活が忙しくてそこまで考えつかなかったみたい。
未亡人になった宮様に少し言い寄った弟君もいたけれど、宮様が冷たくなさったので、それきりになってしまっていた。
<僧侶にお祈りをおさせになるなら、褒美として与える着物が必要だろう>
大将様はよく気がつくご性格で、細々としたものまでそろえてお届けになる。
ご病気の御息所はお礼のお手紙をお書きになれない。
「大将様のような立派なご身分の方に代筆では失礼でございますから」
女房たちにそう言われて、宮様がお手紙をお書きになる。
大将様は初めて宮様のご筆跡をご覧になった。
ほんの短いお手紙だけれど、おっとりとした書きぶりで、女性らしい優しさが感じられるの。
ますます宮様に夢中になって、頻繁にお手紙をお送りになる。
<やはり友情では終わらないご関係らしい>
ご正妻である雲居の雁が嫉妬なさるので、大将様はすぐにお見舞いに行けずやきもきしておられる。
焦らずに将来を期待なさっている。
世間から見て不自然ではないように宮様のお世話をして、さりげなくご様子をうかがわれる。
奥ゆかしい宮様は直接お話しなどなさらない。
<どのような機会なら直接この思いをお伝えして、お言葉をいただけるだろうか>
そわそわしていらっしゃると、母御息所が重病になって、小野という山里にある別荘で療養されることになった。
お祈りが得意な僧侶が山に籠って修行をしていて、都まで出てくることはできないけれど、山里の別荘なら下りてきてくれることになったの。
その僧侶のご病気回復のお祈りをお受けになるために、御息所と女二の宮様は別荘へお移りになる。
乗り物やお供などは大将様がご用意なさった。
亡き衛門の督様の弟君たちは、ご自分の生活が忙しくてそこまで考えつかなかったみたい。
未亡人になった宮様に少し言い寄った弟君もいたけれど、宮様が冷たくなさったので、それきりになってしまっていた。
<僧侶にお祈りをおさせになるなら、褒美として与える着物が必要だろう>
大将様はよく気がつくご性格で、細々としたものまでそろえてお届けになる。
ご病気の御息所はお礼のお手紙をお書きになれない。
「大将様のような立派なご身分の方に代筆では失礼でございますから」
女房たちにそう言われて、宮様がお手紙をお書きになる。
大将様は初めて宮様のご筆跡をご覧になった。
ほんの短いお手紙だけれど、おっとりとした書きぶりで、女性らしい優しさが感じられるの。
ますます宮様に夢中になって、頻繁にお手紙をお送りになる。
<やはり友情では終わらないご関係らしい>
ご正妻である雲居の雁が嫉妬なさるので、大将様はすぐにお見舞いに行けずやきもきしておられる。



