蜩の鳴き声ではっと目を覚まされた。
<小野の御息所はいらだっていらっしゃるだろう。昨夜届いたお手紙を、今日の夕方になってもお返ししていないのだ>
お気の毒で、どうしたらよいかお悩みになる。
いっそお手紙をなくしてしまったことにして謝ろうかと、墨をすりながら文章をお考えになる。
そのときふと、敷物が一部ふくらんでいることにお気づきになった。
ためしにめくってごらんになる。
<ここにあったのか>
うれしくも馬鹿馬鹿しくも思われて、ほっとしながら開いてお読みになると、とんでもない恨み言が書かれているの。
<一昨日の夜、宮様と私が深い関係になったようにお聞きになったのだ>
お胸がつぶれてお顔が青ざめる。
「昨夜は一晩中私からの返事をお待ちになっていたのだろう。どれほどおつらく思われたことか。しかもまだお返事を差し上げていない」
悔しくお思いになる。
お手紙からは、ひどくお苦しそうな御息所の息遣いが伝わってくる。
<意識のぼんやりするなか、どうしても一言言ってやりたいと思ってお書きになったのだろう。それなのに私からの返事が届かないまま朝をお迎えになって、落胆なさったに違いない>
しかし、お気持ちをぶつける先がない。
ご正妻のお振舞いを憎く思われても、
<そのような思い上がった性格にしてしまったのは私だ>
とお苦しい。
情けなくて涙だけが流れる。
<小野の御息所はいらだっていらっしゃるだろう。昨夜届いたお手紙を、今日の夕方になってもお返ししていないのだ>
お気の毒で、どうしたらよいかお悩みになる。
いっそお手紙をなくしてしまったことにして謝ろうかと、墨をすりながら文章をお考えになる。
そのときふと、敷物が一部ふくらんでいることにお気づきになった。
ためしにめくってごらんになる。
<ここにあったのか>
うれしくも馬鹿馬鹿しくも思われて、ほっとしながら開いてお読みになると、とんでもない恨み言が書かれているの。
<一昨日の夜、宮様と私が深い関係になったようにお聞きになったのだ>
お胸がつぶれてお顔が青ざめる。
「昨夜は一晩中私からの返事をお待ちになっていたのだろう。どれほどおつらく思われたことか。しかもまだお返事を差し上げていない」
悔しくお思いになる。
お手紙からは、ひどくお苦しそうな御息所の息遣いが伝わってくる。
<意識のぼんやりするなか、どうしても一言言ってやりたいと思ってお書きになったのだろう。それなのに私からの返事が届かないまま朝をお迎えになって、落胆なさったに違いない>
しかし、お気持ちをぶつける先がない。
ご正妻のお振舞いを憎く思われても、
<そのような思い上がった性格にしてしまったのは私だ>
とお苦しい。
情けなくて涙だけが流れる。



