野いちご源氏物語 三八 夕霧(ゆうぎり)

大将(たいしょう)様は女性に関して非常に真面目だと評判(ひょうばん)で、ご自分でもそうお思いになっている。
でも、亡き衛門(えもん)(かみ)様の未亡人(みぼうじん)である(おんな)()(みや)様のことはどうしても気になっていらっしゃるの。
親友の遺言(ゆいごん)を忘れずに訪問しているだけというふりをしながら、丁寧にご機嫌(きげん)(うかが)いをなさる。
月日が()つにつれて、それだけではとてもお気持ちが収まらないほど恋心が(つの)っていく。
お屋敷はどんどん寂しくなっていくから、宮様の(はは)御息所(みやすんどころ)も大将様のご厚意(こうい)に感謝なさっている。