天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「っひゃぁ!?」

 ルピナは奇声を発して、腕の中で硬直した。

「シ、し、シオンさまぁ?」

「さぁ、帰ろうか。我が愛妻ルピナ」

「あ、あ、あ、愛妻!? 私が?」

 私が無言で頷くと、ルピナは静かに瞑目しピタンと自分自身の頬を叩いた。

 私は驚き目を見開く。

「なにをしている! ルピナ!!」

「え、だって、信じられない……。絶対都合の良い夢過ぎるでしょ? いや、夢にしたって図々しいわ。私としたことが、シオン様にそんな欲望を向けるなんて烏滸がましい」

 ルピナはわめきながら腕の中から逃れようとする。

「ほら危ないぞ、ルピナ」

 そうして、耳元に唇を寄せ囁いた。

「口を塞げば静かになるか?」

 その言葉にルピナは硬直し、「心肺停止案件です」と呟き腕の中で気を失った。