天気……処暑を過ぎて、夏がもうすぐ終わる。気温も少しずつ下がってきて、朝晩はそよそよと風が吹いて、肌に心地よく感じられる。盛夏の間、翠湖の中で、伸び放題に伸びていたスイレンも勢いが盛りを過ぎて、形がほどよく整ってきた。
リキシーに蹴られて意識を失ったぼくは、その後どうなったのか、よく覚えていない。気がついたらスイレンの上にあおむけに横たわっていた。湖の上を朝風が静かに吹いていて、湖面のあちこちで、スイレンの白い花が、ゆらゆらと風にそよいでいた。
「笑い猫、気がついたか」
湖畔から聞き覚えのある声がした。老いらくさんだった。
「ぼくはどうなったのですか」
ぼくはすぐに老いらくさんに聞き返した。
「足で強く蹴られて、お前の体は、三メートルほど吹っ飛んで、翠湖の中に落ちた。バシャンという水音ではなくて、ドサッという音がしたので、お前の体がスイレンの上に落ちたことが分かった。『大丈夫か』と、わしはお前に声をかけた。でも何の反応も返ってこなかったので、もしかしたら死んだのではないかと思った。でも夜が明けて、お前を見たら、体がぴくぴく動いていたから、まだ死んでいないことが分かって、ひとまずほっとした」
老いらくさんが、そう答えた。老いらくさんの話を聞いて、昨夜の状況が、脳裏によみがえってきた。
「体を激しく蹴られたことまでは覚えていますが、湖の中に落ちたことは覚えていません」
ぼくはそう答えた。
「そうか。体はうずくか?」
老いらくさんが心配そうな声で、聞いた。
「うずきます」
ぼくは声を潤ませながら、そう答えた。
「そこからここまで戻ってくることはできるか」
老いらくさんが聞いた。
「傷が治っていないので、スイレンの上を、ぴょんぴょん跳びながら戻ってくることはできません。立ち上がること自体、まだ無理です」
ぼくは顔を曇らせながら、そう答えた。
「そうか。それは困ったなあ。何かいい方法がないかなあ……」
老いらくさんはそう言って、しばらく考えていた。
「そうだ、いい方法がある」
老いらくさんが、そう言った。
「どういう方法でしょうか」
ぼくは聞き返した。
「わしは浮き輪を持っている。それにつかまって戻ってくることができるかもしれない」
老いらくさんがそう言った。
「浮き輪って何ですか?」
ぼくは浮き輪を見たことがなかったので、老いらくさんが言っていることがよく分からなかった。
「浮き輪というのは水に浮かべて遊ぶ子どもの玩具だ。公園のゴミ箱に捨ててあったのを拾ってきて持っている」
老いらくさんがそう言った。
「分かりました。それにつかまったら、湖畔まで戻ってくることができるかもしれません」
ぼくはそう答えた。老いらくさんはそれからまもなくスケートボードを引いて、うちへ帰り、しばらくしてから、浮き輪をスケートボードに乗せて戻ってきた。
「笑い猫、これが浮き輪だ。これから湖に浮かべるから、前足でしっかり浮き輪をつかんで、後ろ足で水をかきながら、こちらへ戻ってこい」
老いらくさんがそう言った。
「分かりました」
ぼくはそう答えた。老いらくさんはそのあと、風の向きを読んでから、浮き輪を水に浮かべた。浮き輪が少しずつ、ぼくが横たわっているスイレンのほうに近づいてきた。
(よし、今だ)
ぼくはそう思って、スイレンの上から浮き輪に飛び移った。その瞬間、少し緊張したが、うまく飛び移ることができた。ぼくは前足でしっかり浮き輪をつかみ、後ろ足で水をかきながら、湖畔まで無事に泳いでくることができた。
「笑い猫、よくやったぞ」
老いらくさんが、ぼくをほめてくれた。老いらくさんは、そのあと浮き輪を水から引き上げて再びスケートボードに乗せていた。ぼくは浮き輪の中に入って、体をぷるぷると振りながら、体についた水気を振り払っていた。
老いらくさんは、それからまもなく、スケートボードを押しながら、ぼくをうちへ連れて行ってくれた。途中で、向こうから人がやってくるのが目に入った。もしかしたらリキシーとオカマーではないかと思ったが、違っていたので、ひとまずほっとした。それでも警戒するに越したことはないので、老いらくさんに
「早く、隠れて」
と言った。ネズミがスケートボードを押していて、スケートボードの上に、猫が乗っていたら、人がびっくりするのが分かっていたからだ。ニュース性もあるので、たくさんの人に取り囲まれて身動きが取れなくなってしまうかもしれない。そうなったら、老いらくさんはスケートボードを押して、ぼくをうちまで連れて帰ることができなくなってしまう。そのような事態は絶対に避けなければならない。老いらくさんも、そのことは分かっていたので、ぼくの指示に従って、スケートボードを置いたまま、木の陰に身をさっと隠した。ぼくはスケートボードの上に横たわったまま、身動きひとつしないで、目を閉じて死んだふりをした。
「あれ、こんなところに猫がいる」
「死んでいるのだろうか。少しも動かない」
「死んだ猫は気持ちが悪い」
ぼくの前を通りかかった人たちが、そう言いながら、足早に通り過ぎていった。
それからまもなく老いらくさんは再び、木の陰から身を現わして、スケートボードを押しながら、ぼくをうちまで連れていってくれた。
うちに着くと、妻猫はまだ帰ってきていないのが分かった。ぼくの傷を治すのに効き目がある薬草を取りに遠くまで出かけていったので、ぼくは、妻猫のことをずっと気がかりに思っていた。
「老いらくさん、妻猫は今、どうしているでしょうか」
ぼくは老いらくさんに聞いた。
「そうだなあ。西山は遠いし、危険も多い山だから、わしも心配している。でも妻猫はどんな困難にもめげないで、自分で決めたことは立派にやりとげる猫だから、心配し過ぎないことだよ」
老いらくさんが、そう言って、ぼくを励ましてくれた。
「そうですね。ぼくもそう思ってはいるのですが、最愛の妻に万一のことがあったら、ぼくは生きてはいられないと思って……」
ぼくは、つぶやくような声でそう答えた。
「心配し過ぎたら体に毒だ。今は自分の傷を治すことだけを考えるべきだ」
老いらくさんが、そう言った。
「分かりました。そうします」
ぼくはそう答えた。
それから数日、ぼくは、ほとんどうちを出ないで、傷の養生をしながら、妻猫の帰りを待ち続けていた。そんなある日、妻猫がついにうちへ帰ってきた。
「お父さん、帰ってきたわよ。西山に自生している血竜草を取ってきたわよ」
妻猫はそう言ってから、首にさげて持ってきたビニール袋を下におろした。ビニール袋の中には、ぼくがこれまで見たことがない薬草がたくさん入っていた。それを見ながら、ぼくは妻猫に
「ありがとう。お母さんの恩は絶対に忘れない」
と言って、感涙にむせんでいた。
「わたしは、お父さんのことをずっと心配していたわ」
妻猫がそう言った。
「ぼくもお母さんのことを、ずっと心配していたよ。無事に帰ってきてくれてよかった」
ぼくがそう答えると、妻猫はうなずいた。
「お父さん、傷の具合は、その後どう?」
妻猫が気遣ってくれた。
「うん、おかげさまで、少しは癒えてきた」
ぼくがそう答えると、妻猫は、ほっとしたような表情を浮かべた。
「わたしが留守の間に馬小跳たちは来ましたか」
妻猫が聞いた。
「いや、来なかった。その代わりに、ぼくの友だちが来て、ぼくをスケートボードの上に乗せて湖畔まで散歩に連れていってくれた」
ぼくはそう答えた。ぼくの友だちというのは、言うまでもなく老いらくさんのことだ。
「友だちにスケートボードを押してもらいながら湖畔を散歩している時に、悪い人間がやってきて、ぼくを翠湖の中に蹴り飛ばした。蹴られた瞬間に激しい痛みが体全体に走って、ぼくはまた意識を失ってしまった。でも、蹴られて落ちたところが水の中ではなくてスイレンの上だったので助かった」
ぼくはそのように答えた。
妻猫はそれを聞いて、びっくりしたような顔をしながら
「まあ、そんなことがあったのですか。何と悲しい出来事でしょう。でも落ちたところが水の中ではなくて、スイレンの上だったのは不幸中の幸いでしたね。神さまの庇護があったのでしょうか。お父さんは、とてもいい猫だから」
妻猫がそう言った。
「いい猫かどうかは分からないが、何か目に見えない不思議な力が、ぼくを守ってくれたのかもしれない」
ぼくは妻猫にそう答えた。
「『泣きっ面に蜂』と言うことわざがありますが、苦しみや不幸が重なって、お父さんは本当にひどい目に遭いましたね」
妻猫が不憫そうな顔をして、そう言った。ぼくはうなずいた。でも妻猫が言うように、スイレンの上に落ちて九死に一生を得たのは不幸中の幸いだったと、ぼくは思っている。老いらくさんがスケートボードや浮き輪を持っていたのも運がよかったと思っている。
「もしお父さんが翠湖の中で死んでいたら、わたしも翠湖の中に身を投げていたかもしれない」
妻猫がそう言った。
「そんな悲しいことは言わないでほしいな」
ぼくは妻猫にそう言った。
「だってお父さんがいなくなったら、生きていても意味がないから」
妻猫がそう言った。
妻猫はそれからまもなく、西山から採ってきてくれた血竜草を、ぼくの傷口に塗ってくれた。血竜草は葉脈が赤くて、葉の形が竜に似ているところから、そのように呼ばれている。血止めの薬としてよく知られているので、傷口が早く治ることを、ぼくも妻猫も心から願っていた。
リキシーに蹴られて意識を失ったぼくは、その後どうなったのか、よく覚えていない。気がついたらスイレンの上にあおむけに横たわっていた。湖の上を朝風が静かに吹いていて、湖面のあちこちで、スイレンの白い花が、ゆらゆらと風にそよいでいた。
「笑い猫、気がついたか」
湖畔から聞き覚えのある声がした。老いらくさんだった。
「ぼくはどうなったのですか」
ぼくはすぐに老いらくさんに聞き返した。
「足で強く蹴られて、お前の体は、三メートルほど吹っ飛んで、翠湖の中に落ちた。バシャンという水音ではなくて、ドサッという音がしたので、お前の体がスイレンの上に落ちたことが分かった。『大丈夫か』と、わしはお前に声をかけた。でも何の反応も返ってこなかったので、もしかしたら死んだのではないかと思った。でも夜が明けて、お前を見たら、体がぴくぴく動いていたから、まだ死んでいないことが分かって、ひとまずほっとした」
老いらくさんが、そう答えた。老いらくさんの話を聞いて、昨夜の状況が、脳裏によみがえってきた。
「体を激しく蹴られたことまでは覚えていますが、湖の中に落ちたことは覚えていません」
ぼくはそう答えた。
「そうか。体はうずくか?」
老いらくさんが心配そうな声で、聞いた。
「うずきます」
ぼくは声を潤ませながら、そう答えた。
「そこからここまで戻ってくることはできるか」
老いらくさんが聞いた。
「傷が治っていないので、スイレンの上を、ぴょんぴょん跳びながら戻ってくることはできません。立ち上がること自体、まだ無理です」
ぼくは顔を曇らせながら、そう答えた。
「そうか。それは困ったなあ。何かいい方法がないかなあ……」
老いらくさんはそう言って、しばらく考えていた。
「そうだ、いい方法がある」
老いらくさんが、そう言った。
「どういう方法でしょうか」
ぼくは聞き返した。
「わしは浮き輪を持っている。それにつかまって戻ってくることができるかもしれない」
老いらくさんがそう言った。
「浮き輪って何ですか?」
ぼくは浮き輪を見たことがなかったので、老いらくさんが言っていることがよく分からなかった。
「浮き輪というのは水に浮かべて遊ぶ子どもの玩具だ。公園のゴミ箱に捨ててあったのを拾ってきて持っている」
老いらくさんがそう言った。
「分かりました。それにつかまったら、湖畔まで戻ってくることができるかもしれません」
ぼくはそう答えた。老いらくさんはそれからまもなくスケートボードを引いて、うちへ帰り、しばらくしてから、浮き輪をスケートボードに乗せて戻ってきた。
「笑い猫、これが浮き輪だ。これから湖に浮かべるから、前足でしっかり浮き輪をつかんで、後ろ足で水をかきながら、こちらへ戻ってこい」
老いらくさんがそう言った。
「分かりました」
ぼくはそう答えた。老いらくさんはそのあと、風の向きを読んでから、浮き輪を水に浮かべた。浮き輪が少しずつ、ぼくが横たわっているスイレンのほうに近づいてきた。
(よし、今だ)
ぼくはそう思って、スイレンの上から浮き輪に飛び移った。その瞬間、少し緊張したが、うまく飛び移ることができた。ぼくは前足でしっかり浮き輪をつかみ、後ろ足で水をかきながら、湖畔まで無事に泳いでくることができた。
「笑い猫、よくやったぞ」
老いらくさんが、ぼくをほめてくれた。老いらくさんは、そのあと浮き輪を水から引き上げて再びスケートボードに乗せていた。ぼくは浮き輪の中に入って、体をぷるぷると振りながら、体についた水気を振り払っていた。
老いらくさんは、それからまもなく、スケートボードを押しながら、ぼくをうちへ連れて行ってくれた。途中で、向こうから人がやってくるのが目に入った。もしかしたらリキシーとオカマーではないかと思ったが、違っていたので、ひとまずほっとした。それでも警戒するに越したことはないので、老いらくさんに
「早く、隠れて」
と言った。ネズミがスケートボードを押していて、スケートボードの上に、猫が乗っていたら、人がびっくりするのが分かっていたからだ。ニュース性もあるので、たくさんの人に取り囲まれて身動きが取れなくなってしまうかもしれない。そうなったら、老いらくさんはスケートボードを押して、ぼくをうちまで連れて帰ることができなくなってしまう。そのような事態は絶対に避けなければならない。老いらくさんも、そのことは分かっていたので、ぼくの指示に従って、スケートボードを置いたまま、木の陰に身をさっと隠した。ぼくはスケートボードの上に横たわったまま、身動きひとつしないで、目を閉じて死んだふりをした。
「あれ、こんなところに猫がいる」
「死んでいるのだろうか。少しも動かない」
「死んだ猫は気持ちが悪い」
ぼくの前を通りかかった人たちが、そう言いながら、足早に通り過ぎていった。
それからまもなく老いらくさんは再び、木の陰から身を現わして、スケートボードを押しながら、ぼくをうちまで連れていってくれた。
うちに着くと、妻猫はまだ帰ってきていないのが分かった。ぼくの傷を治すのに効き目がある薬草を取りに遠くまで出かけていったので、ぼくは、妻猫のことをずっと気がかりに思っていた。
「老いらくさん、妻猫は今、どうしているでしょうか」
ぼくは老いらくさんに聞いた。
「そうだなあ。西山は遠いし、危険も多い山だから、わしも心配している。でも妻猫はどんな困難にもめげないで、自分で決めたことは立派にやりとげる猫だから、心配し過ぎないことだよ」
老いらくさんが、そう言って、ぼくを励ましてくれた。
「そうですね。ぼくもそう思ってはいるのですが、最愛の妻に万一のことがあったら、ぼくは生きてはいられないと思って……」
ぼくは、つぶやくような声でそう答えた。
「心配し過ぎたら体に毒だ。今は自分の傷を治すことだけを考えるべきだ」
老いらくさんが、そう言った。
「分かりました。そうします」
ぼくはそう答えた。
それから数日、ぼくは、ほとんどうちを出ないで、傷の養生をしながら、妻猫の帰りを待ち続けていた。そんなある日、妻猫がついにうちへ帰ってきた。
「お父さん、帰ってきたわよ。西山に自生している血竜草を取ってきたわよ」
妻猫はそう言ってから、首にさげて持ってきたビニール袋を下におろした。ビニール袋の中には、ぼくがこれまで見たことがない薬草がたくさん入っていた。それを見ながら、ぼくは妻猫に
「ありがとう。お母さんの恩は絶対に忘れない」
と言って、感涙にむせんでいた。
「わたしは、お父さんのことをずっと心配していたわ」
妻猫がそう言った。
「ぼくもお母さんのことを、ずっと心配していたよ。無事に帰ってきてくれてよかった」
ぼくがそう答えると、妻猫はうなずいた。
「お父さん、傷の具合は、その後どう?」
妻猫が気遣ってくれた。
「うん、おかげさまで、少しは癒えてきた」
ぼくがそう答えると、妻猫は、ほっとしたような表情を浮かべた。
「わたしが留守の間に馬小跳たちは来ましたか」
妻猫が聞いた。
「いや、来なかった。その代わりに、ぼくの友だちが来て、ぼくをスケートボードの上に乗せて湖畔まで散歩に連れていってくれた」
ぼくはそう答えた。ぼくの友だちというのは、言うまでもなく老いらくさんのことだ。
「友だちにスケートボードを押してもらいながら湖畔を散歩している時に、悪い人間がやってきて、ぼくを翠湖の中に蹴り飛ばした。蹴られた瞬間に激しい痛みが体全体に走って、ぼくはまた意識を失ってしまった。でも、蹴られて落ちたところが水の中ではなくてスイレンの上だったので助かった」
ぼくはそのように答えた。
妻猫はそれを聞いて、びっくりしたような顔をしながら
「まあ、そんなことがあったのですか。何と悲しい出来事でしょう。でも落ちたところが水の中ではなくて、スイレンの上だったのは不幸中の幸いでしたね。神さまの庇護があったのでしょうか。お父さんは、とてもいい猫だから」
妻猫がそう言った。
「いい猫かどうかは分からないが、何か目に見えない不思議な力が、ぼくを守ってくれたのかもしれない」
ぼくは妻猫にそう答えた。
「『泣きっ面に蜂』と言うことわざがありますが、苦しみや不幸が重なって、お父さんは本当にひどい目に遭いましたね」
妻猫が不憫そうな顔をして、そう言った。ぼくはうなずいた。でも妻猫が言うように、スイレンの上に落ちて九死に一生を得たのは不幸中の幸いだったと、ぼくは思っている。老いらくさんがスケートボードや浮き輪を持っていたのも運がよかったと思っている。
「もしお父さんが翠湖の中で死んでいたら、わたしも翠湖の中に身を投げていたかもしれない」
妻猫がそう言った。
「そんな悲しいことは言わないでほしいな」
ぼくは妻猫にそう言った。
「だってお父さんがいなくなったら、生きていても意味がないから」
妻猫がそう言った。
妻猫はそれからまもなく、西山から採ってきてくれた血竜草を、ぼくの傷口に塗ってくれた。血竜草は葉脈が赤くて、葉の形が竜に似ているところから、そのように呼ばれている。血止めの薬としてよく知られているので、傷口が早く治ることを、ぼくも妻猫も心から願っていた。

