社長は私の隣に立ち、端末のホログラム画面を前に腕を組んだ。
「さて、これから大きく4つのステップで、例の二人の正体に迫っていこう」
私は社長を見て頷いた。
社長もそれに頷き返し、それからモニターに向かって音声で指示した。
「LYNX管理モードのメニューを表示してくれ」
私は恐る恐るクリックした。
「いくつかLYNXの機能があるけどその前に流れを簡単に説明しておこう。まずステップ1、再現だ。」
私は頷いた。
社長の声が途切れると驚くほど無音。
嫌でも私の中で緊張感が増す。
「あの日、あの時の渋谷スクランブル交差点を再現して、その中で目的の2人の個体を特定する。録画を再生するように正確な再現になるだろう。
次、ステップ2、因果を可視化する。
これは君もシミュレーションしたけど、その答え合わせといこうか。2人の出会いとパンデミック関連の未来予測値の変動を解析する。」
「答え合わせのようで緊張します」
「君のシミュレーションと遠くない結果になるだろうね。
次、ステップ3は行動トレース解析。
交差点で2人の個体を特定したら、その前後の行動を時系列で洗い出す。個人を示す痕跡をあちこちに落としているからね、それを拾い集める。
ただし、この段階では個人を特定する情報はマスキングされていて2人が何者か分からない。」
LYNXは個人を特定する情報は暗号化されているからだ。私は頷いた。
「続けるよ、ステップ4はIDマスキング解除。
ここでいよいよ2人の正体に迫る。個人を特定する情報のマスキングを解除する。」
STEP1:再現
STEP2: 因果を可視化
STEP3:行動トレース解析
STEP4: IDマスキング解除
画面に浮かび上がった文字を見つめ、
「ありがとうございます、社長。マスキング解除は私の申請ではゆるされない領域だと思います。社長が尽力くださったんですね」
「いや、厚労省報告案件だと私は言っただけさ」
「ありがとうございます」
タイムリープしたと知ってから深い霧の中にいるような感じがいつもしていた。
こんなにも強力な協力者を得られるとは思っていなかった。
どこにいるのか分からない真っ白い闇の中で、一ノ瀬さんがいたから立っていられたけど、どうやって抜け出せばいいか分からないでいた。
社長は道を照らす光のようだった。
霧が晴れようとしている──そんな安堵に泣きたくなった。
「結月くんこれからだよ、泣いてる場合じゃないぞ。今日はこのステップ4までを行おう」
「……はい」
「2人の正体が分かればあとは簡単だ。
君たちが何より知りたいことを調べよう。
管理モードなら他者の未来シナリオを確認できるからね」
あっ、と私は思わず声をもらした。
だからこそ管理モードを申請したのだ。
「2人の未来シナリオを確認し、君たちがそこに絡む余地があるのか、何のためにタイムリープしたのか、それを確かめよう。」
どこに出るのか分からない。
それでも出口が明るく遠くに見える。
長く暗いトンネルの中から歩く方向が見えた気がした。
「さて、これから大きく4つのステップで、例の二人の正体に迫っていこう」
私は社長を見て頷いた。
社長もそれに頷き返し、それからモニターに向かって音声で指示した。
「LYNX管理モードのメニューを表示してくれ」
私は恐る恐るクリックした。
「いくつかLYNXの機能があるけどその前に流れを簡単に説明しておこう。まずステップ1、再現だ。」
私は頷いた。
社長の声が途切れると驚くほど無音。
嫌でも私の中で緊張感が増す。
「あの日、あの時の渋谷スクランブル交差点を再現して、その中で目的の2人の個体を特定する。録画を再生するように正確な再現になるだろう。
次、ステップ2、因果を可視化する。
これは君もシミュレーションしたけど、その答え合わせといこうか。2人の出会いとパンデミック関連の未来予測値の変動を解析する。」
「答え合わせのようで緊張します」
「君のシミュレーションと遠くない結果になるだろうね。
次、ステップ3は行動トレース解析。
交差点で2人の個体を特定したら、その前後の行動を時系列で洗い出す。個人を示す痕跡をあちこちに落としているからね、それを拾い集める。
ただし、この段階では個人を特定する情報はマスキングされていて2人が何者か分からない。」
LYNXは個人を特定する情報は暗号化されているからだ。私は頷いた。
「続けるよ、ステップ4はIDマスキング解除。
ここでいよいよ2人の正体に迫る。個人を特定する情報のマスキングを解除する。」
STEP1:再現
STEP2: 因果を可視化
STEP3:行動トレース解析
STEP4: IDマスキング解除
画面に浮かび上がった文字を見つめ、
「ありがとうございます、社長。マスキング解除は私の申請ではゆるされない領域だと思います。社長が尽力くださったんですね」
「いや、厚労省報告案件だと私は言っただけさ」
「ありがとうございます」
タイムリープしたと知ってから深い霧の中にいるような感じがいつもしていた。
こんなにも強力な協力者を得られるとは思っていなかった。
どこにいるのか分からない真っ白い闇の中で、一ノ瀬さんがいたから立っていられたけど、どうやって抜け出せばいいか分からないでいた。
社長は道を照らす光のようだった。
霧が晴れようとしている──そんな安堵に泣きたくなった。
「結月くんこれからだよ、泣いてる場合じゃないぞ。今日はこのステップ4までを行おう」
「……はい」
「2人の正体が分かればあとは簡単だ。
君たちが何より知りたいことを調べよう。
管理モードなら他者の未来シナリオを確認できるからね」
あっ、と私は思わず声をもらした。
だからこそ管理モードを申請したのだ。
「2人の未来シナリオを確認し、君たちがそこに絡む余地があるのか、何のためにタイムリープしたのか、それを確かめよう。」
どこに出るのか分からない。
それでも出口が明るく遠くに見える。
長く暗いトンネルの中から歩く方向が見えた気がした。



