灯りを近づけて姫宮様からのお返事をご覧になる。
ご筆跡はとても儚げだけれど、ご結婚当初に比べれば成長なさっているの。
「ご病気のこと、心苦しく聞いております。私に何ができるわけでもありませんけれど。私も煙になって消えてしまいたい。すぐにその日はやって来るような気がいたします」
ついに頂戴できた短いお手紙を、衛門の督様はありがたく、もったいなくお思いになる。
「死んでも忘れません。最高のこの世の思い出だ」
ますますひどく泣きながら、お返事を少しずつ書いていかれる。
文章は途切れ途切れで、ご筆跡も読めるかどうかあやしいほど乱れているの。
「煙になりましたらあなた様のあたりまで漂ってまいりましょう。よくお探しくださいませ。私が死ねば源氏の君のお怒りも解けるでしょうから、どうかご安心なさって、ときどきは私のことを思い出してくださいませ」
そこまでお書きになるのが限界で、小侍従にお渡しになる。
「これでよい。遅くならないうちに六条の院に帰って、こうして死んでいったと姫宮様にお伝えしておくれ。死んだら世間はどんな噂をするだろうか。姫宮様とのことを疑われなければよいが。死んだあとの噂さえ心配になってしまうような恋を、どうして始めてしまったのであろうな」
よろよろとご病室にお戻りになる。
<いつもはご用件が済んでも帰してくださらなくて、姫宮様についてのささいなお話まで聞こうとなさるのに>
と思うと、小侍従はすぐに退出することもできず泣いている。
ご筆跡はとても儚げだけれど、ご結婚当初に比べれば成長なさっているの。
「ご病気のこと、心苦しく聞いております。私に何ができるわけでもありませんけれど。私も煙になって消えてしまいたい。すぐにその日はやって来るような気がいたします」
ついに頂戴できた短いお手紙を、衛門の督様はありがたく、もったいなくお思いになる。
「死んでも忘れません。最高のこの世の思い出だ」
ますますひどく泣きながら、お返事を少しずつ書いていかれる。
文章は途切れ途切れで、ご筆跡も読めるかどうかあやしいほど乱れているの。
「煙になりましたらあなた様のあたりまで漂ってまいりましょう。よくお探しくださいませ。私が死ねば源氏の君のお怒りも解けるでしょうから、どうかご安心なさって、ときどきは私のことを思い出してくださいませ」
そこまでお書きになるのが限界で、小侍従にお渡しになる。
「これでよい。遅くならないうちに六条の院に帰って、こうして死んでいったと姫宮様にお伝えしておくれ。死んだら世間はどんな噂をするだろうか。姫宮様とのことを疑われなければよいが。死んだあとの噂さえ心配になってしまうような恋を、どうして始めてしまったのであろうな」
よろよろとご病室にお戻りになる。
<いつもはご用件が済んでも帰してくださらなくて、姫宮様についてのささいなお話まで聞こうとなさるのに>
と思うと、小侍従はすぐに退出することもできず泣いている。



