もうご正妻に会えないことを悟った衛門の督様は、あらゆる人に女二の宮様のことをお願いしておかれる。
宮様の母御息所は、もともと女二の宮様をご結婚させるおつもりはなかった。
皇女という尊いご身分なのだから生涯独身を貫かれるべきだとお考えだった。
でも、入道の上皇様はご結婚をお許しになってしまわれたの。
元太政大臣様がご子息のために熱心にお願いなさったからよ。
そこまでして頂戴なさった宮様だということを、今さら衛門の督様は恐れ多く思われる。
上皇様も、
「女三の宮よりも女二の宮の方が、かえって将来も安心で誠実な後見役と結婚したようだ」
と仰せになっていたことは、衛門の督様も人づてにお聞きになっている。
<それなのに申し訳ないことになってしまった>
宮様の今後が心配で、ご自身の母君にもよくよくお願いなさる。
「宮様をお残しして死ぬことが気がかりです。寿命は思いどおりになりませんから、宮様はご自分のご運の悪さをお恨みになるでしょう。お気の毒なことです。どうか母君も宮様にご同情なさって、気にかけてさしあげてください」
「縁起でもないことを。あなたが先に亡くなってしまったら、私がどれだけ生きていられるとお思いですか。きっとすぐに死んでしまいますよ。そのような先のお約束などできませんよ」
母君はただお泣きになるだけなので、弟君にくわしくお願いなさった。
宮様の母御息所は、もともと女二の宮様をご結婚させるおつもりはなかった。
皇女という尊いご身分なのだから生涯独身を貫かれるべきだとお考えだった。
でも、入道の上皇様はご結婚をお許しになってしまわれたの。
元太政大臣様がご子息のために熱心にお願いなさったからよ。
そこまでして頂戴なさった宮様だということを、今さら衛門の督様は恐れ多く思われる。
上皇様も、
「女三の宮よりも女二の宮の方が、かえって将来も安心で誠実な後見役と結婚したようだ」
と仰せになっていたことは、衛門の督様も人づてにお聞きになっている。
<それなのに申し訳ないことになってしまった>
宮様の今後が心配で、ご自身の母君にもよくよくお願いなさる。
「宮様をお残しして死ぬことが気がかりです。寿命は思いどおりになりませんから、宮様はご自分のご運の悪さをお恨みになるでしょう。お気の毒なことです。どうか母君も宮様にご同情なさって、気にかけてさしあげてください」
「縁起でもないことを。あなたが先に亡くなってしまったら、私がどれだけ生きていられるとお思いですか。きっとすぐに死んでしまいますよ。そのような先のお約束などできませんよ」
母君はただお泣きになるだけなので、弟君にくわしくお願いなさった。



