<どうしてこんなことになってしまったのだろう>
ご自分を()めてひたすらお泣きになる。
容態(ようだい)は少し落ち着いていたから、付ききりだった女房(にょうぼう)たちがしばらくおそばを離れた。
その(すき)姫宮(ひめみや)様にお手紙を書かれる。

「私が危篤(きとく)状態であることは小侍従(こじじゅう)からお聞きでございましょう。一言(ひとこと)もご心配いただけないのは、ごもっともなこととはいえ悲しゅうございます」
お手が震えてしまって、思うことすべてはお書きになれない。
火葬(かそう)されてもあなた様への恋心だけは焼け残りそうです。(かな)わぬ恋をして死ぬ私に、『気の毒な』とだけでもお言葉をくださいませ。自業(じごう)自得(じとく)の死の暗闇(くらやみ)が近づいております。そのお言葉を光にして()()りとう存じます」
とだけ書いて、小侍従()てにお送りになった。