<源氏の君のご愛情が薄いことは聞いていた。姫宮にとってこれ以上ないご結婚相手だと安心していたが、残念なことだ。出家の理由が産後のご病気なら世間も源氏の君も悪くは思わないだろう。
これからも引きつづき後見はしてくださるはずだから、このご結婚はやはり間違いではなかった。尼君用のお住まいを用意して、さりげなく穏便に別居させてあげよう。私が生きているうちに姫宮の今後の人生をある程度整えておいた方がよい。その上で源氏の君がどれほどお世話してくださるか見届けよう>
入道の上皇様はそうお考えになって、
「せっかくここまで来たのですから、この機会に尼にしてあげましょう」
とおっしゃった。
これからも引きつづき後見はしてくださるはずだから、このご結婚はやはり間違いではなかった。尼君用のお住まいを用意して、さりげなく穏便に別居させてあげよう。私が生きているうちに姫宮の今後の人生をある程度整えておいた方がよい。その上で源氏の君がどれほどお世話してくださるか見届けよう>
入道の上皇様はそうお考えになって、
「せっかくここまで来たのですから、この機会に尼にしてあげましょう」
とおっしゃった。



