見物席においおいと泣く声が響く。
「我々年寄りは酒を飲むと涙もろくなるな。衛門の督がこちらを見て笑っているではないか。あぁ、恥ずかしい。しかし今に分かるだろう。年月は逆戻りはしない。老いは誰にもやって来るのだ」
杯を片手に源氏の君がおっしゃる。
衛門の督様はびくりとして振り向きなさった。
それまで姿勢も崩さずお庭の舞をご覧になっていたのよ。
ご体調が悪くてじっとしていてもお苦しいから、正直なところ舞もろくに見えていなかったのに、源氏の君の方を振り向いたり、ましてや笑ったりなんてなさるはずがない。
それを源氏の君は酔ったふりで名指しでお責めになった。
ちっとも濁っていないお目で、衛門の督様をにらみつけなさる。
ただのご冗談だとはお思いになれない。
お胸がつぶれるような気がなさる。
杯が回ってきたけれど頭痛がしてとても無理そうでいらっしゃる。
飲んだふりで次の人に回すと、源氏の君は見とがめて飲むまでお許しにならない。
「我々年寄りは酒を飲むと涙もろくなるな。衛門の督がこちらを見て笑っているではないか。あぁ、恥ずかしい。しかし今に分かるだろう。年月は逆戻りはしない。老いは誰にもやって来るのだ」
杯を片手に源氏の君がおっしゃる。
衛門の督様はびくりとして振り向きなさった。
それまで姿勢も崩さずお庭の舞をご覧になっていたのよ。
ご体調が悪くてじっとしていてもお苦しいから、正直なところ舞もろくに見えていなかったのに、源氏の君の方を振り向いたり、ましてや笑ったりなんてなさるはずがない。
それを源氏の君は酔ったふりで名指しでお責めになった。
ちっとも濁っていないお目で、衛門の督様をにらみつけなさる。
ただのご冗談だとはお思いになれない。
お胸がつぶれるような気がなさる。
杯が回ってきたけれど頭痛がしてとても無理そうでいらっしゃる。
飲んだふりで次の人に回すと、源氏の君は見とがめて飲むまでお許しにならない。



