女三の宮様がふさぎこんでおられることをお耳になさって、入道の上皇様は心配していらっしゃる。
さらには、「源氏の君は紫の上と二条の院にお移りになったままで、六条の院にほとんどお戻りにならない」とお聞きになったから、どういうことだと驚かれる。
<紫の上の看病のために三月に二条の院に移られたとは聞いていた。それですらよい気分はしなかったのに、もう半年以上もそのままだというのか。何か夫婦仲が悪くなるようなことが起きたのだろうか。姫宮が知らないところで、悪口好きな女房がよけいなことを源氏の君に申し上げたのかもしれない。内裏でも、火のないところに煙を立てて意地悪く楽しむ不届き者がいたものだ>
世間と縁を切るのが出家だから、本当は姫宮様の心配などなさってはいけないのよ。
でも、親心だけは捨てられないわよね。
姫宮様に細やかに言い聞かせるようなお手紙をお書きになった。
「しばらくやりとりをしていなかったから、あなたがどうしているか心配しています。懐妊のことを聞いてからは仏様にあなたのことをお祈りしていますが、体調はいかがですか。結婚生活が虚しくなったり、心外なことが起きたりしても、我慢してお過ごしなさい。恨めしそうな態度をとるのは品のないことですよ」
源氏の君は義務として、ときどき姫宮様のところにお越しになっている。
ちょうどそのときだったので、ご一緒にお読みになった。
<これほどご心配をおかけして、お気の毒で心苦しい。どんなことがあったかご存じないのだから、私が悪いとお思いだろう>
源氏の君は恐縮すると、冷たいお声で宮様におっしゃる。
「お返事はどうお書きになるおつもりですか。このようなお手紙をいただいたら私の方がつらい。こちらこそ心外なことが起きたけれど、あなたのご体面はお守りしているはずですよ。誰がよけいなことを申し上げたのだろう」
恥ずかしがって宮様はお顔を背けなさる。
そのお姿がとても可憐なの。
お顔がやせて物思いに沈みこんでおられるのが、上品でお美しい。
さらには、「源氏の君は紫の上と二条の院にお移りになったままで、六条の院にほとんどお戻りにならない」とお聞きになったから、どういうことだと驚かれる。
<紫の上の看病のために三月に二条の院に移られたとは聞いていた。それですらよい気分はしなかったのに、もう半年以上もそのままだというのか。何か夫婦仲が悪くなるようなことが起きたのだろうか。姫宮が知らないところで、悪口好きな女房がよけいなことを源氏の君に申し上げたのかもしれない。内裏でも、火のないところに煙を立てて意地悪く楽しむ不届き者がいたものだ>
世間と縁を切るのが出家だから、本当は姫宮様の心配などなさってはいけないのよ。
でも、親心だけは捨てられないわよね。
姫宮様に細やかに言い聞かせるようなお手紙をお書きになった。
「しばらくやりとりをしていなかったから、あなたがどうしているか心配しています。懐妊のことを聞いてからは仏様にあなたのことをお祈りしていますが、体調はいかがですか。結婚生活が虚しくなったり、心外なことが起きたりしても、我慢してお過ごしなさい。恨めしそうな態度をとるのは品のないことですよ」
源氏の君は義務として、ときどき姫宮様のところにお越しになっている。
ちょうどそのときだったので、ご一緒にお読みになった。
<これほどご心配をおかけして、お気の毒で心苦しい。どんなことがあったかご存じないのだから、私が悪いとお思いだろう>
源氏の君は恐縮すると、冷たいお声で宮様におっしゃる。
「お返事はどうお書きになるおつもりですか。このようなお手紙をいただいたら私の方がつらい。こちらこそ心外なことが起きたけれど、あなたのご体面はお守りしているはずですよ。誰がよけいなことを申し上げたのだろう」
恥ずかしがって宮様はお顔を背けなさる。
そのお姿がとても可憐なの。
お顔がやせて物思いに沈みこんでおられるのが、上品でお美しい。



