いつもどおりになさっているおつもりだけれど、紫の上は源氏の君のご表情が暗いことに気づかれた。
<こちらにいらしても姫宮様のことがご心配なのだろう>
と思って、
「私の方はずいぶん気分もよくなりましたから、ご体調のお悪い宮様のところへお戻りになっては。お気の毒でございます」
とお勧めなさる。
「あぁ、それがご病気かと思えばそうではなくてね。ご懐妊らしいから、それなら大丈夫だろうとこちらに帰ってきたのですよ。帝からはたびたびお使者が来ているようだ。入道の上皇様がとりわけ大切にされた姫宮様だから、帝も気遣っておいでなのだろうね。私が少しでも軽んじたようにお扱いしたら、どうお思いになるだろうかと恐れ多い」
「帝や入道の上皇様がどうお思いになるかよりも、姫宮様ご本人がお悲しみになることの方が問題でございましょう。いくらおっとりした宮様でも、周りにあなたのことを悪く言う女房がきっといるでしょうから、そうなっては私が心苦しいのです」
「あなたは宮様の年上の従姉として、宮様のお味方をなさるというわけですね。女房の言うことまで気にして、なんともお優しいご後見ぶりだ。帝や上皇様からのお叱りだけを恐れている私とは違いますね」
笑ってごまかしてしまわれる。
「次に六条の院に戻るときは、あなたもご一緒に帰りましょう」
「私はもうしばらくこちらで体を休めてまいります。どうぞ先にお戻りください。姫宮様があなたのご愛情を十分にお受け取りになったころ、私も戻りましょう」
そうおっしゃっているうちに何日も経ってしまった。
<こちらにいらしても姫宮様のことがご心配なのだろう>
と思って、
「私の方はずいぶん気分もよくなりましたから、ご体調のお悪い宮様のところへお戻りになっては。お気の毒でございます」
とお勧めなさる。
「あぁ、それがご病気かと思えばそうではなくてね。ご懐妊らしいから、それなら大丈夫だろうとこちらに帰ってきたのですよ。帝からはたびたびお使者が来ているようだ。入道の上皇様がとりわけ大切にされた姫宮様だから、帝も気遣っておいでなのだろうね。私が少しでも軽んじたようにお扱いしたら、どうお思いになるだろうかと恐れ多い」
「帝や入道の上皇様がどうお思いになるかよりも、姫宮様ご本人がお悲しみになることの方が問題でございましょう。いくらおっとりした宮様でも、周りにあなたのことを悪く言う女房がきっといるでしょうから、そうなっては私が心苦しいのです」
「あなたは宮様の年上の従姉として、宮様のお味方をなさるというわけですね。女房の言うことまで気にして、なんともお優しいご後見ぶりだ。帝や上皇様からのお叱りだけを恐れている私とは違いますね」
笑ってごまかしてしまわれる。
「次に六条の院に戻るときは、あなたもご一緒に帰りましょう」
「私はもうしばらくこちらで体を休めてまいります。どうぞ先にお戻りください。姫宮様があなたのご愛情を十分にお受け取りになったころ、私も戻りましょう」
そうおっしゃっているうちに何日も経ってしまった。



