早朝の涼しい時間に出発しようと、翌朝は早くお起きになった。
「夏用の扇をどこかに置きわすれてしてしまった。おそらく昨日の夕方、うたた寝をしたときだろう。ふつうの扇では風がぬるくていけない」
姫宮様のお部屋を見回してごらんになる。
すると、宮様の敷物の下から薄緑色の紙が少し出ているの。
何気なく引き出してお広げになると、男性の筆跡のお手紙だった。
優雅な香りが焚きしめられた紙に、熱烈な恋心がつづられている。
二枚にわたって細やかに書かれているのをご覧になって、
<これは間違いなく衛門の督の筆跡だ>
とお気づきになる。
おそばで朝の仕事をはじめた女房たちのなかで、小侍従だけは動揺する。
<源氏の君がお読みになっているお手紙は、衛門の督様からのお手紙と色が似ているけれど>
心臓が激しく鳴る。
仕事どころではなくなって、ぐるぐると考えをめぐらせる。
<いや、まさかそれはないだろう。他の男からの恋文を見つけられてしまうなんて、さすがにありえない。お手紙は姫宮様がうまくお隠しになったはずだ>
大丈夫だと自分に言い聞かせるしかないの。
姫宮様は何もご存じなくまだお休みになっている。
<なんという子どもっぽい方だ。見つけたのが私でまだよかった。噂好きの女房などが拾っていたら、大変なことになっただろう。幼くて不用心なご性格だから、こういうことを心配していたのだ>
源氏の君は苦々しくお思いになる。
「夏用の扇をどこかに置きわすれてしてしまった。おそらく昨日の夕方、うたた寝をしたときだろう。ふつうの扇では風がぬるくていけない」
姫宮様のお部屋を見回してごらんになる。
すると、宮様の敷物の下から薄緑色の紙が少し出ているの。
何気なく引き出してお広げになると、男性の筆跡のお手紙だった。
優雅な香りが焚きしめられた紙に、熱烈な恋心がつづられている。
二枚にわたって細やかに書かれているのをご覧になって、
<これは間違いなく衛門の督の筆跡だ>
とお気づきになる。
おそばで朝の仕事をはじめた女房たちのなかで、小侍従だけは動揺する。
<源氏の君がお読みになっているお手紙は、衛門の督様からのお手紙と色が似ているけれど>
心臓が激しく鳴る。
仕事どころではなくなって、ぐるぐると考えをめぐらせる。
<いや、まさかそれはないだろう。他の男からの恋文を見つけられてしまうなんて、さすがにありえない。お手紙は姫宮様がうまくお隠しになったはずだ>
大丈夫だと自分に言い聞かせるしかないの。
姫宮様は何もご存じなくまだお休みになっている。
<なんという子どもっぽい方だ。見つけたのが私でまだよかった。噂好きの女房などが拾っていたら、大変なことになっただろう。幼くて不用心なご性格だから、こういうことを心配していたのだ>
源氏の君は苦々しくお思いになる。



