姫宮様のご体調がお悪いと聞いて、源氏の君はお見舞いにいくことになさった。
その前に紫の上のお部屋へ行かれると、女君はお髪を洗わせていらっしゃる。
暑い時期だから、少しご気分もさわやかにおなりになった。
横になったまま長いお髪を乾かされる。
美しく豊かな黒髪が、青白くなったお顔に映える。
透けるようなお肌がとても可憐なの。
でもまだまだお元気がない。
二条の院は長年空き家になっていたから、六条の院に比べたら少し荒れていて、手狭にも感じられる。
ただ、お庭のお池は涼しげよ。
蓮の花が咲き誇って、青々とした葉に玉のような露がきらきらと光っている。
「あれをご覧なさい。自分ひとり涼しそうにしている」
紫の上はお体を起こして外をお眺めになった。
ひさしぶりのそんなお姿に源氏の君は感動なさる。
「ここまで回復なさって夢のようです。私まで死んでしまいそうな気のするときもあったから」
涙を浮かべておっしゃる。
悲しそうに紫の上はお返事なさる。
「私の残りの命は、あの蓮の葉にかかった露が消えるまでくらいでしょう」
「たとえそうだとしても、来世でも私たちは一緒ですからね。同じ蓮の上に生まれかわるのですよ。あなたも信じていてください」
お約束は来世のことになってしまうの。
その前に紫の上のお部屋へ行かれると、女君はお髪を洗わせていらっしゃる。
暑い時期だから、少しご気分もさわやかにおなりになった。
横になったまま長いお髪を乾かされる。
美しく豊かな黒髪が、青白くなったお顔に映える。
透けるようなお肌がとても可憐なの。
でもまだまだお元気がない。
二条の院は長年空き家になっていたから、六条の院に比べたら少し荒れていて、手狭にも感じられる。
ただ、お庭のお池は涼しげよ。
蓮の花が咲き誇って、青々とした葉に玉のような露がきらきらと光っている。
「あれをご覧なさい。自分ひとり涼しそうにしている」
紫の上はお体を起こして外をお眺めになった。
ひさしぶりのそんなお姿に源氏の君は感動なさる。
「ここまで回復なさって夢のようです。私まで死んでしまいそうな気のするときもあったから」
涙を浮かべておっしゃる。
悲しそうに紫の上はお返事なさる。
「私の残りの命は、あの蓮の葉にかかった露が消えるまでくらいでしょう」
「たとえそうだとしても、来世でも私たちは一緒ですからね。同じ蓮の上に生まれかわるのですよ。あなたも信じていてください」
お約束は来世のことになってしまうの。



