野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

姫宮(ひめみや)様はやはりご懐妊(かいにん)なさっていた。
つわりで何も召し上がれず、お顔は青白くなっていらっしゃる。
衛門(えもん)(かみ)様は恋心が(おさ)えきれないときにこっそりお越しになる。
姫宮様はあいかわらず冷たいご態度で、仕方なくされるがままになっていらっしゃる。

優雅で美しい人だと世間では言われている衛門の督様だけれど、十代半ばで源氏(げんじ)(きみ)とご結婚なさった姫宮様から見ればたいしたことはないの。
それなのにお腹にはそのお子がいて、つわりで苦しめられていらっしゃるのだから運命はどこまで残酷(ざんこく)なのかしら。
ご懐妊に気づいた乳母(めのと)たちは、
<直接お知らせ申し上げたいのに、源氏の君はめったにお越しにならないのだから>
とお(うら)みしている。