野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

(むらさき)(うえ)が生き返りなさったあと、源氏(げんじ)(きみ)はこれまで以上にお祈りをおさせになる。
生死(せいし)(さかい)をさまよわれたからか、出家(しゅっけ)したいと切実(せつじつ)にお願いなさるので、ついに源氏の君もお許しになった。
<出家のご利益(りやく)で回復するかもしれない>
(はかな)い期待をなさったの。
(ぐし)はすべて切るのではなく、一部分だけお切りになった。
儀式(ぎしき)の間も源氏の君はおそばに寄り添って泣いておられる。
どれほど重い立場のご立派な方でも、こういうときは冷静でいらっしゃれないのね。
どうにかして紫の上の命を長らえさせたいと、そればかりを一日中お考えになって、お顔もやつれてしまわれた。