衛門の督様は一日中お悩みになっている。
賀茂神社のお祭りがあるので、ご友人が見物に誘いにいらっしゃるけれど、ぼんやりとしたご様子でお断りになる。
ご正妻のことは尊い宮様として重々しくお扱いになるだけで、夫君らしいご愛情はお見せにならない。
ひととおりのご挨拶をしたら婿君用のお部屋に籠って、物思いにふけっておられる。
賀茂神社のお印である葵を持っている女童にお目を留めて、
<葵は『会おう』に似た名前の花だけれど、私と女三の宮様が会うことは罪で、神様もお許しにならないことだったのだ>
と後悔なさる。
外からは行きかう乗り物の音が聞こえる。
世間はお祭りでにぎやかなのに、衛門の督様はご自分のせいでその輪に入れず、長い一日を過ごしていらっしゃった。
ご正妻も夫君のご様子がおかしいことに気づいていらっしゃる。
理由まではお分かりにならないけれど、
<私のせいだろうか、そうだとしてもひどい態度ではないか>
とお苦しみになる。
女房たちはお祭り見物に出かけてしまったので、おそばに控えている人は少ない。
ぼんやりと筝を弾いておられるお姿は、宮様らしく上品でお美しい。
それでも衛門の督様は満足なさらない。
<どうせならやはり女三の宮様がよかった>
手が届かなかった女三の宮様のことを諦められずにいらっしゃる。
「ご姉妹とはいえ、私が頂戴したのは落葉のようにつまらない人の方だ」
なんて失礼なことをおっしゃるのかしら。
賀茂神社のお祭りがあるので、ご友人が見物に誘いにいらっしゃるけれど、ぼんやりとしたご様子でお断りになる。
ご正妻のことは尊い宮様として重々しくお扱いになるだけで、夫君らしいご愛情はお見せにならない。
ひととおりのご挨拶をしたら婿君用のお部屋に籠って、物思いにふけっておられる。
賀茂神社のお印である葵を持っている女童にお目を留めて、
<葵は『会おう』に似た名前の花だけれど、私と女三の宮様が会うことは罪で、神様もお許しにならないことだったのだ>
と後悔なさる。
外からは行きかう乗り物の音が聞こえる。
世間はお祭りでにぎやかなのに、衛門の督様はご自分のせいでその輪に入れず、長い一日を過ごしていらっしゃった。
ご正妻も夫君のご様子がおかしいことに気づいていらっしゃる。
理由まではお分かりにならないけれど、
<私のせいだろうか、そうだとしてもひどい態度ではないか>
とお苦しみになる。
女房たちはお祭り見物に出かけてしまったので、おそばに控えている人は少ない。
ぼんやりと筝を弾いておられるお姿は、宮様らしく上品でお美しい。
それでも衛門の督様は満足なさらない。
<どうせならやはり女三の宮様がよかった>
手が届かなかった女三の宮様のことを諦められずにいらっしゃる。
「ご姉妹とはいえ、私が頂戴したのは落葉のようにつまらない人の方だ」
なんて失礼なことをおっしゃるのかしら。



