入道の上皇様はいよいよ死が近づいている気がなさる。
ご出家のときに世間のことはすべて捨てたはずだけれど、女三の宮様のことだけは気がかりで、<成仏の妨げになるのでは>とご心配なさっている。
「おおげさにならないように会いにきてくれませんか」
とそっとお願いなさると、源氏の君は反省なさった。
「私の気が利かなかった。もっと早く姫宮様にお見舞いをお勧めするべきだった。ご出家なさった上皇様に言いにくいことを言わせてしまい、申し訳がない」
ただのお見舞いではなく、せっかくならば何か工夫をしたいとお思いになる。
<入道の上皇様は来年は五十歳におなりだから、その祝賀会をしてさしあげよう>
上皇様のためのお着物や、余興の舞の準備をおはじめになった。
ご出家のときに世間のことはすべて捨てたはずだけれど、女三の宮様のことだけは気がかりで、<成仏の妨げになるのでは>とご心配なさっている。
「おおげさにならないように会いにきてくれませんか」
とそっとお願いなさると、源氏の君は反省なさった。
「私の気が利かなかった。もっと早く姫宮様にお見舞いをお勧めするべきだった。ご出家なさった上皇様に言いにくいことを言わせてしまい、申し訳がない」
ただのお見舞いではなく、せっかくならば何か工夫をしたいとお思いになる。
<入道の上皇様は来年は五十歳におなりだから、その祝賀会をしてさしあげよう>
上皇様のためのお着物や、余興の舞の準備をおはじめになった。



