明石の入道のお願い事はあまりに大それているから、そのお礼参りとは言わず、ふつうの源氏の君のご参詣ということで出発なさる。
紫の上もご一緒にお行きになる。
民衆の負担にならないよう質素を心がけなさるけれど、上皇待遇の源氏の君のお出かけともなると、やはり盛大になったわ。
明石の女御様と紫の上は同じ乗り物にお乗りになる。
そのあとの乗り物に、明石の君と尼君、それからこっそりと女御様の乳母が乗った。
この乳母は源氏の君が都から明石へ派遣なさった人で、女御様がお生まれになったときからお仕えしている。
「尼君もお連れしよう」と源氏の君がおっしゃったとき、明石の君は遠慮したのだけれど、
「あとどれだけ生きられるかわからないのですから、ぜひお供させていただきたい」
と本人が言うので一緒に行くことになったの。
まさかこれほど幸せな老後があるなんて、本当に運のいい人よね。
紫の上もご一緒にお行きになる。
民衆の負担にならないよう質素を心がけなさるけれど、上皇待遇の源氏の君のお出かけともなると、やはり盛大になったわ。
明石の女御様と紫の上は同じ乗り物にお乗りになる。
そのあとの乗り物に、明石の君と尼君、それからこっそりと女御様の乳母が乗った。
この乳母は源氏の君が都から明石へ派遣なさった人で、女御様がお生まれになったときからお仕えしている。
「尼君もお連れしよう」と源氏の君がおっしゃったとき、明石の君は遠慮したのだけれど、
「あとどれだけ生きられるかわからないのですから、ぜひお供させていただきたい」
と本人が言うので一緒に行くことになったの。
まさかこれほど幸せな老後があるなんて、本当に運のいい人よね。



