<私と女(おんな)三(さん)の宮(みや)様では身分が釣(つ)り合わない、か。もっともなことだが冷たい返事だ。しかしこんなふうに宮様の乳母子(めのとご)と手紙のやりとりをしていたところで私の恋は進まない。どうにかして宮様と直接お話がしたい> 衛門(えもん)の督(かみ)様の恋心は募(つの)るばかり。 これまでは尊敬なさっていた源氏(げんじ)の君(きみ)のことまで少しお嫌いになる。