旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。

今まで逃げていく令嬢や離れていく令嬢ばかりだったのだろうと思うと、セルト様から一歩近づけさせられただけで私は勝利したような気分だった。


「レシール・リディーア。何を望む?」


それは叶えてくれるという意味ではない。

ただ純粋に私の思惑が気になっているだけだろう。

何か裏がある、そう私は疑われている。


「目を合わせて、逃げずに、私と向き合って下さいませ。私は良好な夫婦生活を望んでいる。それだけですわ」


「レシールと向き合って私に何の得がある?」


「損得勘定の話ではないのですけれど……まぁ良いですわ。セルト様にとっての一つの得をお教えします」