それくらいの約束は守れる人間でありたかった。

「大体セルト様ってなんなのですか!」

「え?」

「出会った初日に『愛する気はない』と言い放ったくせに、私にちょっかいをかけてきて! 私はセルト様のおもちゃではありませんわ!」

「それは……!」

セルト様が何を仰りかけたことすら無視するように、私の口は止まってくれない。





「それにこんな私に何度も『可愛い』『可愛い』と言って来て! 良いですか! 私はそんな言葉に慣れていませんの! だから……」



「そんなことを言われたら意識してしまうじゃありませんか!」





私は公爵令嬢なのに、何を口走っているのだろう。