SIDE:SELT《サイド:セルト》


昔から女が嫌いだった。

いや、女が嫌いということにしておく方が都合が良かった。

権力目当てに寄ってくる女も、上辺だけで近づいてくる女も、噂を広げれば寄ってくる数が大幅に減った。

確かに女性と接するのが得意というわけではなかったが、話すときに緊張するほど慣れていないわけでもなかった。

そんな時に両家の関係を強化にするために結ばれた結婚。

相手は気の強い女性だと聞いていた。

私たちは一度も会ったことがないのだから、相手もこの結婚を望んでいるはずがないことは分かっていた。

所詮家同士の結婚、上辺だけの情で関係を作るより、突き放して好きに過ごさせた方が両方にとって良いと思った。