そのことに気づいて、私はついセルト様を可愛いと思ってしまう。







「あら、セルト様。また逃げるのですか?」






「っ……! 馬鹿にするな……!」







セルト様がすぐに立ち上がり、自室に向かおうと歩いていく。

「妻を置いて先に歩いていく旦那様はあまり格好良くないですよ?」

「っ! 早く行くぞ」

旦那様が立ち止まって私が隣に来るのを待ってくださっている。


「ふふっ、可愛い旦那様」


私はついそう呟いてしまった。