女房がお返事申し上げる。
「中納言様は昔から真面目な方で、初恋をずっと大切にして他の女性などには目もくれなかったそうでございます。そのお相手とご結婚なさったからには、姫宮様にご興味はお持ちになりませんでしょう。それよりもお父君の源氏の君の方が、いまだに女性にご関心がおありとか。とくに高貴な女性をお求めになっていて、斎院をなさった亡き式部卿の宮様の姫君のことをお忘れになれないようでございます」
朝顔の姫君に求婚なさっていた噂は、こんなところまで広まっている。
「いつまでも女性に関心があるのは心配でもあるが」
苦笑いなさりながらも、
<女性関係の苦労はあるだろうが、親代わりと割り切って頼んでしまおうか>
ともお思いになる。
「年ごろの娘がいる人なら誰でも、源氏の君に差し上げたいと願うだろうね。娘本人だって、命などあっという間のものだと思えば、美しい夫を見て満足して暮らしたいだろうよ。私が女に生まれたとしてもきっとそう思うはずだから、若い娘がふらふらとあの人に惹かれるのも仕方がない」
朧月夜の尚侍様のことを思い出しておっしゃる。
「中納言様は昔から真面目な方で、初恋をずっと大切にして他の女性などには目もくれなかったそうでございます。そのお相手とご結婚なさったからには、姫宮様にご興味はお持ちになりませんでしょう。それよりもお父君の源氏の君の方が、いまだに女性にご関心がおありとか。とくに高貴な女性をお求めになっていて、斎院をなさった亡き式部卿の宮様の姫君のことをお忘れになれないようでございます」
朝顔の姫君に求婚なさっていた噂は、こんなところまで広まっている。
「いつまでも女性に関心があるのは心配でもあるが」
苦笑いなさりながらも、
<女性関係の苦労はあるだろうが、親代わりと割り切って頼んでしまおうか>
ともお思いになる。
「年ごろの娘がいる人なら誰でも、源氏の君に差し上げたいと願うだろうね。娘本人だって、命などあっという間のものだと思えば、美しい夫を見て満足して暮らしたいだろうよ。私が女に生まれたとしてもきっとそう思うはずだから、若い娘がふらふらとあの人に惹かれるのも仕方がない」
朧月夜の尚侍様のことを思い出しておっしゃる。



