野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)上

新年になった。
明石(あかし)女御(にょうご)様のご出産が近づいているから、源氏(げんじ)(きみ)安産(あんざん)のお祈りをおさせになる。
<出産は恐ろしい。大将の母親も子を産んでまもなく亡くなった。(むらさき)(うえ)に子どもがいないは残念だが、命がけの出産などをさせずにすんでよかったのかもしれない。明石の女御様はまだお若すぎるから、ご無事にご出産できるかどうか>

二月にはすっかり弱ってしまわれた。
源氏の君はご心配でたまらない。
(うらな)()などが「ご寝室の場所を変えた方がよろしいでしょう」と申し上げたので、女御様を明石(あかし)(きみ)の住む冬の御殿(ごてん)へお移しなさった。
冬の御殿は比較的こじんまりとしているのだけれど、そこに有名な僧侶(そうりょ)がたくさん集められて大声でお祈りをしている。
明石の君はこのご出産に自分の運命もかかっているから、必死に女御様を(はげ)まし申し上げる。