帝も、母君であられる入道の宮様がすでに亡くなっておられて、孝行できないことを残念に思われている。
実は源氏の君が本当の父親だということをご存じだから、亡き母君にできない分も源氏の君に孝行したいとお思いだけれど、表立ってそんなことはできずにいらっしゃった。
今年は源氏の君が四十歳の節目だから、それを口実に行幸してお祝いしようとご計画なさったけれど、源氏の君はご辞退なさる。
行幸——帝のお出かけ、にはとんでもない費用がかかるから、
「民衆の負担になることをなさってはいけません」
とおっしゃるの。
実は源氏の君が本当の父親だということをご存じだから、亡き母君にできない分も源氏の君に孝行したいとお思いだけれど、表立ってそんなことはできずにいらっしゃった。
今年は源氏の君が四十歳の節目だから、それを口実に行幸してお祝いしようとご計画なさったけれど、源氏の君はご辞退なさる。
行幸——帝のお出かけ、にはとんでもない費用がかかるから、
「民衆の負担になることをなさってはいけません」
とおっしゃるの。



