今夜は紫(むらさき)の上(うえ)が姫宮(ひめみや)様にご挨拶(あいさつ)なさるということで、源氏(げんじ)の君(きみ)はどちらにも気(き)兼(が)ねなく朧月夜(おぼろづきよ)の尚侍(ないしのかみ)様のところへお出かけになる。 <誰かに見られて噂(うわさ)になったら、身分にふさわしくない振舞いだと非難(ひなん)されるだろう> とお思いになるけれど、尚侍(ないしのかみ)様の魅力にはかなわないの。