東宮様が母君の女御様とお見舞いにいらっしゃった。
ご病気はもちろん、ご出家の準備もなさっているとお聞きになったからご心配なの。
こちらの女御様は大将様の妹君。
そう、玉葛の尚侍様と無理やりご結婚なさった大将様よ。
男性としてはともかく政治家としての評価は高い方だから、東宮様の立派な後見役として上皇様も安心なさっている。
上皇様は東宮様に帝におなりになったときのお心構えをお話しになる。
それから姫宮様たちのことをお願いなさった。
「この世に思い残したことはないけれど、四人の姫宮の将来だけが心配です。出家の妨げになるような気さえする。女の子が生きていくのは難しいものですからね。しかも内親王となれば、軽率な振舞いをすればすぐに世間から非難される。
あなたが帝におなりになったら、どうか姫宮たちを気にかけて世話してやってください。しっかりとした後見役がいるならばそちらに任せてもよいが、女三の宮はまだ幼く、私だけを頼りにして生きてきた人なのです。私が出家したら、世の中をどう漂っていくのか不安で悲しい」
涙をぬぐいながらお話しになる。
女御様にもお願いなさる。
でも、かつて後宮で競い合っていた方がお生みになったお子を、どれほど大切にお世話なさるかしら。
意地悪まではなさらないでしょうけれど、真剣に後見してくださることも期待できないわよね。
ご病気はもちろん、ご出家の準備もなさっているとお聞きになったからご心配なの。
こちらの女御様は大将様の妹君。
そう、玉葛の尚侍様と無理やりご結婚なさった大将様よ。
男性としてはともかく政治家としての評価は高い方だから、東宮様の立派な後見役として上皇様も安心なさっている。
上皇様は東宮様に帝におなりになったときのお心構えをお話しになる。
それから姫宮様たちのことをお願いなさった。
「この世に思い残したことはないけれど、四人の姫宮の将来だけが心配です。出家の妨げになるような気さえする。女の子が生きていくのは難しいものですからね。しかも内親王となれば、軽率な振舞いをすればすぐに世間から非難される。
あなたが帝におなりになったら、どうか姫宮たちを気にかけて世話してやってください。しっかりとした後見役がいるならばそちらに任せてもよいが、女三の宮はまだ幼く、私だけを頼りにして生きてきた人なのです。私が出家したら、世の中をどう漂っていくのか不安で悲しい」
涙をぬぐいながらお話しになる。
女御様にもお願いなさる。
でも、かつて後宮で競い合っていた方がお生みになったお子を、どれほど大切にお世話なさるかしら。
意地悪まではなさらないでしょうけれど、真剣に後見してくださることも期待できないわよね。



