帝をはじめ、あちこちからお見舞いが届けられる。
お加減が多少よくなられたとお聞きになって、源氏の君がお見舞いに上がられた。
上皇様と同格のお扱いを受けてはいらっしゃるけれど、おおげさなお行列にはせず、臣下として控えめにご移動なさる。
上皇様は源氏の君にお会いできるのを待ちかねておいでよ。
愛する弟宮というのもあるけれど、この機会に女三の宮様のことをお頼みになりたいの。
正式なお部屋ではなく、上皇様が普段お過ごしになっているお部屋の方へ客席が用意された。
僧侶のお姿になられた上皇様を拝見なさって、源氏の君は涙をこぼしておっしゃる。
「私たちの父君であられる上皇様がお亡くなりになってから、世の中が何もかも儚いものに思われまして、私も出家したいと願っておりましたが、あれこれが気にかかって成し遂げられずにおります。とうとう上皇様にまで置いていかれてしまいましたから、中途半端に願うだけだった自分が恥ずかしい限りです。その気になれば簡単に出家してしまえる身分だったころも、やはり妨げになるものが多うございまして」
お加減が多少よくなられたとお聞きになって、源氏の君がお見舞いに上がられた。
上皇様と同格のお扱いを受けてはいらっしゃるけれど、おおげさなお行列にはせず、臣下として控えめにご移動なさる。
上皇様は源氏の君にお会いできるのを待ちかねておいでよ。
愛する弟宮というのもあるけれど、この機会に女三の宮様のことをお頼みになりたいの。
正式なお部屋ではなく、上皇様が普段お過ごしになっているお部屋の方へ客席が用意された。
僧侶のお姿になられた上皇様を拝見なさって、源氏の君は涙をこぼしておっしゃる。
「私たちの父君であられる上皇様がお亡くなりになってから、世の中が何もかも儚いものに思われまして、私も出家したいと願っておりましたが、あれこれが気にかかって成し遂げられずにおります。とうとう上皇様にまで置いていかれてしまいましたから、中途半端に願うだけだった自分が恥ずかしい限りです。その気になれば簡単に出家してしまえる身分だったころも、やはり妨げになるものが多うございまして」



