「姫宮がもう少し大人らしくなるまで出家を待とうかとも考えたけれど、私の命はそれまでもちそうにない。だから急いで夫を決めて出家してしまおうと思うのだ。
やはり源氏の君が一番安心できる候補者だろうね。たくさん囲っていらっしゃる女君たちのことは問題にしなくてよいだろう。それほどの身分の人はいないようだから、姫宮は何も気にせず堂々としていればよい。
その他に候補になりそうな人は誰がいるだろう。たとえば兵部卿の宮は、人柄もよいし、私や源氏の君の弟宮であるから悪く言いたくはないが、少し風流人すぎる。身分にふさわしい重々しさよりも軽やかさの方が目立つ人だから、姫宮の夫としては頼りないだろう。
あとは、この屋敷で事務長をしている大納言が、私の出家後は姫宮の世話係になりたいと申し出ている。真面目な男ではあるが、あの程度の平凡な男に姫宮をやるのはもったいない。昔から内親王の婿に選ばれるのは、ありとあらゆる点で特別に優れた人物だった。姫宮を唯一の妻としてただひたすら愛してくれそうだから、などという理由でありがたがって決めるのはよくない。
太政大臣の長男である衛門の督が姫宮を欲しがっていると朧月夜の尚侍から話があった。甥の頼みだから、尚侍はどうにか叶えてやりたそうだったよ。もう少し身分が高ければ候補に入れるべき人だが、まだ上級貴族ではないのだから難しい。内親王を妻にしたいと願って、二十歳を過ぎても焦らず独身でいるのは立派な心がけではあるが。落ち着いた人柄で学問もよくできると聞く。将来は大臣にもなる人だろうが、今の時点で衛門の督では候補に入れるわけにはいかない」
結局お決めになれないの。
姫宮様は四人おいでなのに、女三の宮様のことだけを悩んでおられる。
正直なところ、他の姫宮様たちの方がご性格も安心で、後見役もついていらっしゃる。
そちらの婿になる方が無難なのに、求婚する人はいない。
上皇様が女三の宮様のことばかり気にかけておられるから、それを漏れ聞いた人たちが、女三の宮様に過剰な期待をして求婚しているのよね。
やはり源氏の君が一番安心できる候補者だろうね。たくさん囲っていらっしゃる女君たちのことは問題にしなくてよいだろう。それほどの身分の人はいないようだから、姫宮は何も気にせず堂々としていればよい。
その他に候補になりそうな人は誰がいるだろう。たとえば兵部卿の宮は、人柄もよいし、私や源氏の君の弟宮であるから悪く言いたくはないが、少し風流人すぎる。身分にふさわしい重々しさよりも軽やかさの方が目立つ人だから、姫宮の夫としては頼りないだろう。
あとは、この屋敷で事務長をしている大納言が、私の出家後は姫宮の世話係になりたいと申し出ている。真面目な男ではあるが、あの程度の平凡な男に姫宮をやるのはもったいない。昔から内親王の婿に選ばれるのは、ありとあらゆる点で特別に優れた人物だった。姫宮を唯一の妻としてただひたすら愛してくれそうだから、などという理由でありがたがって決めるのはよくない。
太政大臣の長男である衛門の督が姫宮を欲しがっていると朧月夜の尚侍から話があった。甥の頼みだから、尚侍はどうにか叶えてやりたそうだったよ。もう少し身分が高ければ候補に入れるべき人だが、まだ上級貴族ではないのだから難しい。内親王を妻にしたいと願って、二十歳を過ぎても焦らず独身でいるのは立派な心がけではあるが。落ち着いた人柄で学問もよくできると聞く。将来は大臣にもなる人だろうが、今の時点で衛門の督では候補に入れるわけにはいかない」
結局お決めになれないの。
姫宮様は四人おいでなのに、女三の宮様のことだけを悩んでおられる。
正直なところ、他の姫宮様たちの方がご性格も安心で、後見役もついていらっしゃる。
そちらの婿になる方が無難なのに、求婚する人はいない。
上皇様が女三の宮様のことばかり気にかけておられるから、それを漏れ聞いた人たちが、女三の宮様に過剰な期待をして求婚しているのよね。



