十月の紅葉の盛り、六条の院に行幸——帝のお出かけ、があった。
帝だけでなく上皇様までお越しになったから、世にもめずらしいことだと世間が騒いでいる。
源氏の君も心を尽くしてまばゆいほどのご準備をなさる。
まず午前中に馬場の御殿にお入りになり、昼下がりに春の御殿へお移りになる。
お通りになる道には、尊い方々のお姿がよそから見えないよう幕が張られ、美しい布が敷かれている。
紅葉は春のお庭も秋のお庭もすばらしいけれど、やはり秋のお庭がひときわ美しい。
春の御殿のお席から秋のお庭が眺められるように、視界をさえぎるものは撤去してあるの。
帝と上皇様のお席から一段下がったところに源氏の君のお席が用意されていたから、帝は同格のお席にするようお命じになった。
立派なお扱いだけれど、もっと父君に対して孝行したいと帝はお思いになっている。
めずらしいお食事を差し上げて、皆様お酒にお酔いになる。
親王様や上級貴族の方たちもたくさんお越しになっているの。
日が暮れかかるころに音楽が始まって、見習いとして内裏に上がっている貴族のお子たちが舞を披露なさる。
亡き上皇様が帝でいらっしゃったころの行幸で、源氏の君が太政大臣様と青海波を舞われたことをどなたも思い出される。
もう二十年も昔のことだけれど、それだけ皆様にとって美しい思い出なのよね。
今回は太政大臣様の十歳のお子がとくにかわいらしく舞われたので、帝がお着物を脱いでご褒美としてお与えになった。
とても名誉なことで、父君の太政大臣様がお礼の舞をなさる。
帝だけでなく上皇様までお越しになったから、世にもめずらしいことだと世間が騒いでいる。
源氏の君も心を尽くしてまばゆいほどのご準備をなさる。
まず午前中に馬場の御殿にお入りになり、昼下がりに春の御殿へお移りになる。
お通りになる道には、尊い方々のお姿がよそから見えないよう幕が張られ、美しい布が敷かれている。
紅葉は春のお庭も秋のお庭もすばらしいけれど、やはり秋のお庭がひときわ美しい。
春の御殿のお席から秋のお庭が眺められるように、視界をさえぎるものは撤去してあるの。
帝と上皇様のお席から一段下がったところに源氏の君のお席が用意されていたから、帝は同格のお席にするようお命じになった。
立派なお扱いだけれど、もっと父君に対して孝行したいと帝はお思いになっている。
めずらしいお食事を差し上げて、皆様お酒にお酔いになる。
親王様や上級貴族の方たちもたくさんお越しになっているの。
日が暮れかかるころに音楽が始まって、見習いとして内裏に上がっている貴族のお子たちが舞を披露なさる。
亡き上皇様が帝でいらっしゃったころの行幸で、源氏の君が太政大臣様と青海波を舞われたことをどなたも思い出される。
もう二十年も昔のことだけれど、それだけ皆様にとって美しい思い出なのよね。
今回は太政大臣様の十歳のお子がとくにかわいらしく舞われたので、帝がお着物を脱いでご褒美としてお与えになった。
とても名誉なことで、父君の太政大臣様がお礼の舞をなさる。



