中納言におなりになると、女君のご実家でのお暮らしは何かと手狭になった。
新婚夫婦は太政大臣邸を出て、三条という場所にある大宮様がお住まいだったお屋敷にお移りになる。
大宮様がお亡くなりになったあと荒れていたのを立派に修理なさった。
中納言様と女君は、幼いころこのお屋敷で大宮様に育てられたから、なつかしくお思いになる。
お庭の小さかった木は大きく成長して生い茂っている。
草木を整え、小川の掃除をおさせになると、なつかしい景色がよみがえった。
夕暮れ時におふたりはお庭をお眺めになって、幼かったころのことをお話しになる。
最期までおふたりの幸せを祈っておられた大宮様はもうおられない。
どこにも行かずにお屋敷を守っていた老女房たちが、ご夫婦になって戻っていらっしゃったおふたりをうれしく拝見している。
中納言様が、
「小川の水は昔と変わらず流れているけれど、大宮様がどうしていらっしゃるか知っているだろうか」
とつぶやかれると、女君は、
「何も知らないような顔で楽しそうに流れておりますね」
としんみりなさる。
そこへ太政大臣様がいらっしゃった。
内裏からお帰りになる途中、三条のお屋敷の紅葉の美しさに目を留めてご訪問なさったの。
新婚夫婦は太政大臣邸を出て、三条という場所にある大宮様がお住まいだったお屋敷にお移りになる。
大宮様がお亡くなりになったあと荒れていたのを立派に修理なさった。
中納言様と女君は、幼いころこのお屋敷で大宮様に育てられたから、なつかしくお思いになる。
お庭の小さかった木は大きく成長して生い茂っている。
草木を整え、小川の掃除をおさせになると、なつかしい景色がよみがえった。
夕暮れ時におふたりはお庭をお眺めになって、幼かったころのことをお話しになる。
最期までおふたりの幸せを祈っておられた大宮様はもうおられない。
どこにも行かずにお屋敷を守っていた老女房たちが、ご夫婦になって戻っていらっしゃったおふたりをうれしく拝見している。
中納言様が、
「小川の水は昔と変わらず流れているけれど、大宮様がどうしていらっしゃるか知っているだろうか」
とつぶやかれると、女君は、
「何も知らないような顔で楽しそうに流れておりますね」
としんみりなさる。
そこへ太政大臣様がいらっしゃった。
内裏からお帰りになる途中、三条のお屋敷の紅葉の美しさに目を留めてご訪問なさったの。



