野いちご源氏物語 三三 藤裏葉(ふじのうらば)

来年源氏(げんじ)(きみ)が四十歳におなりになるということで、(みかど)をはじめとして世間全体がお祝いの準備をなさっている。
その秋に、源氏の君は上皇(じょうこう)様と同じ待遇(たいぐう)をお受けになることが決まった。
経済面だけでなく、ご生活もいっそう格式(かくしき)高いお(あつか)いになって、いよいよ気軽に内裏(だいり)にお上がりになることは難しくなった。
それでも帝はご満足なさらない。
本当の父君(ちちぎみ)だとご存じだから、できれば帝の(くらい)をお譲りになりたいとお思いなの。
さすがにそれはできなくて、お心のうちでいつもお(なげ)きになっている。