三日間内裏で付き添われた紫の上が退出なさる夜、参内してきた明石の君にご対面なさった。
「三歳でお預かりした姫君が今では女御様におなりになったのですから、私たちも古くからの友人といってもよいと思います。どうかしら。遠慮のない関係になってくれるかしら」
紫の上は親しみやすい口調でお話しかけになる。
明石の君がお返事申し上げる様子は、紫の上のご想像以上に上品だった。
<たかだか地方長官の娘とは思えない。源氏の君がお愛しになったのももっともだ>
と感心なさる一方で、明石の君も紫の上の気高く女盛りのご様子をまぶしく拝見している。
<こんなにすばらしい方なら、ご立派な女君たちのなかで特別に大切にされていらっしゃっても当然だ。しかし、その方とこうして親しくお話させていただいている私も、少しは自信を持ってよいのでは>
でも、その自信はすぐに打ち砕かれるの。
紫の上は退出の儀式を重々しくなさると、帝から許可された特別な乗り物に乗って出ていかれた。
まるで女御様のようなお扱いよ。
地方長官の娘である明石の君がこんなふうに扱われることはありえない。
これが身分の違いなのよね。
「三歳でお預かりした姫君が今では女御様におなりになったのですから、私たちも古くからの友人といってもよいと思います。どうかしら。遠慮のない関係になってくれるかしら」
紫の上は親しみやすい口調でお話しかけになる。
明石の君がお返事申し上げる様子は、紫の上のご想像以上に上品だった。
<たかだか地方長官の娘とは思えない。源氏の君がお愛しになったのももっともだ>
と感心なさる一方で、明石の君も紫の上の気高く女盛りのご様子をまぶしく拝見している。
<こんなにすばらしい方なら、ご立派な女君たちのなかで特別に大切にされていらっしゃっても当然だ。しかし、その方とこうして親しくお話させていただいている私も、少しは自信を持ってよいのでは>
でも、その自信はすぐに打ち砕かれるの。
紫の上は退出の儀式を重々しくなさると、帝から許可された特別な乗り物に乗って出ていかれた。
まるで女御様のようなお扱いよ。
地方長官の娘である明石の君がこんなふうに扱われることはありえない。
これが身分の違いなのよね。



