お手紙はまだこっそりとお届けになる。
姫君はお返事をこれまでのようにはお書きになれない。
女房たちが興味津々で注目しているのに困っていらっしゃると、父君の内大臣様までお越しになってしまったの。
お手紙をご覧になる。
「あなたがいつまでもうれしそうなお顔をなさらないから、私はそれほど愛されていないのだろうかと悲しくて死んでしまいそうです。今朝は涙で濡れた袖をしぼる元気も出ない」
甘えたように書かれたお手紙に、内大臣様は微笑まれる。
「字がお上手になられた」
ご結婚に反対なさっていたことなんて忘れてしまわれたかのように婿君をおほめになる。
ご自分が姫君のお部屋にいつづけてはお返事を書けないのも当然だろうと、
「お待たせするのは恥ずかしいことですから、早くお返事をさしあげなさい」
とだけおっしゃってお帰りになる。
お手紙を届けたお使者はご長男がおもてなしなさった。
いつもはこそこそとお使いをしていたから、今日は堂々と届けられたことがうれしくて、晴れ晴れとした表情をしているの。
姫君はお返事をこれまでのようにはお書きになれない。
女房たちが興味津々で注目しているのに困っていらっしゃると、父君の内大臣様までお越しになってしまったの。
お手紙をご覧になる。
「あなたがいつまでもうれしそうなお顔をなさらないから、私はそれほど愛されていないのだろうかと悲しくて死んでしまいそうです。今朝は涙で濡れた袖をしぼる元気も出ない」
甘えたように書かれたお手紙に、内大臣様は微笑まれる。
「字がお上手になられた」
ご結婚に反対なさっていたことなんて忘れてしまわれたかのように婿君をおほめになる。
ご自分が姫君のお部屋にいつづけてはお返事を書けないのも当然だろうと、
「お待たせするのは恥ずかしいことですから、早くお返事をさしあげなさい」
とだけおっしゃってお帰りになる。
お手紙を届けたお使者はご長男がおもてなしなさった。
いつもはこそこそとお使いをしていたから、今日は堂々と届けられたことがうれしくて、晴れ晴れとした表情をしているの。



