その日の夜になると、明石の姫君は中宮様の秋の御殿へお入りになった。
深夜からの裳着の儀式にそなえて準備をなさる。
源氏の君と紫の上もご一緒にお越しになって、この機会に紫の上は中宮様とご対面なさった。
中宮様の女房と紫の上の女房がずらりと並んでいる。
いよいよ儀式が始まり、中宮様が腰結役のお役目をなさる。
姫君の裳の腰ひもをお結びになりながら、ほのかな灯りで姫君をご覧になると、たいそうおかわいらしい。
近くで見守っている源氏の君がかしこまっておっしゃる。
「私はあなた様の父親代わりをさせていただいておりますから、私の娘のことも身内のように思っていただけるだろうと期待いたしまして、恐れ多くもこのようなお役目をお願いしたのでございます。中宮様に一貴族の娘の腰結役をしていただくなど、失礼とは承知しておりますが」
中宮様は少女のような儚いお声でおっしゃる。
「たいして深くも考えずお引き受けしてしまったのです。そのように恐縮なさっては、かえって緊張いたします」
ご立派な養女の中宮様、かわいらしく成長なさって入内間近の姫君、美しく最愛の紫の上、源氏の君は理想どおりの女性たちに囲まれて満足なさっている。
そのすばらしい交流に、ひとり足りない方がいらっしゃる。
姫君の生母である明石の君よ。
こっそり呼ぼうかと源氏の君はお思いになったけれど、やはり世間の噂を気にしておやめになった。
裳着の儀式はさまざまな作法があって、源氏の君の姫君の儀式となればさらに大がかりだったのだけれど、少しだけ書いてもつまらないから全部省くわね。
深夜からの裳着の儀式にそなえて準備をなさる。
源氏の君と紫の上もご一緒にお越しになって、この機会に紫の上は中宮様とご対面なさった。
中宮様の女房と紫の上の女房がずらりと並んでいる。
いよいよ儀式が始まり、中宮様が腰結役のお役目をなさる。
姫君の裳の腰ひもをお結びになりながら、ほのかな灯りで姫君をご覧になると、たいそうおかわいらしい。
近くで見守っている源氏の君がかしこまっておっしゃる。
「私はあなた様の父親代わりをさせていただいておりますから、私の娘のことも身内のように思っていただけるだろうと期待いたしまして、恐れ多くもこのようなお役目をお願いしたのでございます。中宮様に一貴族の娘の腰結役をしていただくなど、失礼とは承知しておりますが」
中宮様は少女のような儚いお声でおっしゃる。
「たいして深くも考えずお引き受けしてしまったのです。そのように恐縮なさっては、かえって緊張いたします」
ご立派な養女の中宮様、かわいらしく成長なさって入内間近の姫君、美しく最愛の紫の上、源氏の君は理想どおりの女性たちに囲まれて満足なさっている。
そのすばらしい交流に、ひとり足りない方がいらっしゃる。
姫君の生母である明石の君よ。
こっそり呼ぼうかと源氏の君はお思いになったけれど、やはり世間の噂を気にしておやめになった。
裳着の儀式はさまざまな作法があって、源氏の君の姫君の儀式となればさらに大がかりだったのだけれど、少しだけ書いてもつまらないから全部省くわね。



