内大臣様は、明石の姫君の入内のご準備を他人事として聞いていらっしゃったけれど、やはりご自分も姫君に同じことをしてあげたかったと悔やまれる。
雲居の雁は二十歳でいらっしゃる。
今が女盛りで、もったいないほどお美しいの。
つまらなそうにしょんぼり暮らしておられるから、内大臣様はほとほと困っていらっしゃる。
若君があいかわらず平気なお顔をなさっているのも、内大臣様には憎い。
<弱気になってこちらから結婚を申し込んだら世間の笑い者になるだろう。あちらが許しを求めていたときに認めてしまえばよかった>
お心のなかで嘆かれている。
若君だけが悪いわけではないと分かってはいらっしゃるの。
頑なだった内大臣様のご態度が少しゆるんだことは、若君も人づてにお聞きになっている。
でも、雲居の雁と引き裂かれてつらかったことを思うと、素直にお願いに行く気にはおなりになれない。
お心を落ち着けて、かといって他の女性に心を移すこともなさらない。
耐えられないほど姫君が恋しいけれど、
<六位だったころに「姫君のご結婚相手にふさわしくない」と馬鹿にした乳母たちを見返してやりたい。三位の中納言まで出世したら結婚を申し込もう>
と決めていらっしゃる。
雲居の雁は二十歳でいらっしゃる。
今が女盛りで、もったいないほどお美しいの。
つまらなそうにしょんぼり暮らしておられるから、内大臣様はほとほと困っていらっしゃる。
若君があいかわらず平気なお顔をなさっているのも、内大臣様には憎い。
<弱気になってこちらから結婚を申し込んだら世間の笑い者になるだろう。あちらが許しを求めていたときに認めてしまえばよかった>
お心のなかで嘆かれている。
若君だけが悪いわけではないと分かってはいらっしゃるの。
頑なだった内大臣様のご態度が少しゆるんだことは、若君も人づてにお聞きになっている。
でも、雲居の雁と引き裂かれてつらかったことを思うと、素直にお願いに行く気にはおなりになれない。
お心を落ち着けて、かといって他の女性に心を移すこともなさらない。
耐えられないほど姫君が恋しいけれど、
<六位だったころに「姫君のご結婚相手にふさわしくない」と馬鹿にした乳母たちを見返してやりたい。三位の中納言まで出世したら結婚を申し込もう>
と決めていらっしゃる。



