一日中おふたりは昔や今の筆跡について語り合われる。
源氏の君がご所蔵のお手本を取り出してお目にかけたので、兵部卿の宮様は宮家ご所蔵のお手本を持ってくるようご子息にお命じになった。
ご子息がお持ちしたのは、昔の帝が和歌をお書きになった美しいお手本で、源氏の君は灯りを近づけてじっくりとご覧になる。
「これは見飽きませんね。近ごろの人たちは、このほんの一部を必死になってまねているだけですね」
宮様はそれらを源氏の君にお贈りになった。
「私にはこれを譲る娘がおりませんから。もしいたとしても、価値が理解できないのならば譲りたくないような見事なお手本です。価値がお分かりになるあなたにこそ持っていていただきたい」
源氏の君はお返しとして、ご子息のために中国で書かれた漢字の立派なお手本に、すばらしい笛を添えておあげになった。
源氏の君がご所蔵のお手本を取り出してお目にかけたので、兵部卿の宮様は宮家ご所蔵のお手本を持ってくるようご子息にお命じになった。
ご子息がお持ちしたのは、昔の帝が和歌をお書きになった美しいお手本で、源氏の君は灯りを近づけてじっくりとご覧になる。
「これは見飽きませんね。近ごろの人たちは、このほんの一部を必死になってまねているだけですね」
宮様はそれらを源氏の君にお贈りになった。
「私にはこれを譲る娘がおりませんから。もしいたとしても、価値が理解できないのならば譲りたくないような見事なお手本です。価値がお分かりになるあなたにこそ持っていていただきたい」
源氏の君はお返しとして、ご子息のために中国で書かれた漢字の立派なお手本に、すばらしい笛を添えておあげになった。



