野いちご源氏物語 三一 真木柱(まきばしら)

ついに尚侍(ないしのかみ)様が内裏(だいり)に上がられると聞いて、右大将(うだいしょう)様は不安にお思いになる。
<しかしこれは絶好(ぜっこう)の機会かもしれない。六条(ろくじょう)(いん)にお迎えに上がったところですんなりと姫を渡してはくださらないだろうが、内裏にお迎えに上がれば簡単に私の屋敷に連れてくることができる>
そう思いついて、尚侍様が少しの間内裏に上がることをお認めになった。
人目(ひとめ)(しの)んで女君(おんなぎみ)のところに通うのは慣れていなくて面倒、という方なの。
お屋敷を修繕(しゅうぜん)して、尚侍様をお迎えする準備を急いでいらっしゃる。