内密(ないみつ)にはじまったおふたりのご結婚生活だけれど、自然と世間の噂(うわさ)になって、ついに帝(みかど)のお耳にまで届いた。 「残念ながら私とは縁(えん)のない人だったのだな。しかし宮(みや)仕(づか)えを取りやめにする必要はないだろう。尚侍(ないしのかみ)としての仕事は結婚していてもできるのだから」 とお命じになる。