野いちご源氏物語 三一 真木柱(まきばしら)

僧侶(そうりょ)のお祈りは続いているけれど、ご正妻(せいさい)()りついた妖怪(ようかい)はなかなか消えない。
<自分の屋敷に帰れば必ずひどい目に()うだろう>
右大将(うだいしょう)様は六条(ろくじょう)(いん)にいつづけていらっしゃる。
たまにお帰りになっても、ご正妻のお部屋の方には近づかれない。
三人のお子たちをご自分のお部屋に呼んでおかわいがりになる。
<いよいよもう駄目(だめ)なのだ>
ご正妻が現実を受け入れようとなさるので、女房(にょうぼう)たちも悲しくなってしまう。