太政大臣でいらっしゃる源氏の君のお出かけとなると、どれほど地味になさっても行幸に劣らないほど立派なお行列になる。
大宮様は婿君のご訪問におよろこびになった。
ご病気の苦しさも消えるような心地がして、起き上がっていらっしゃるの。
ひじ置きにもたれながら座っていらっしゃるご様子は弱々しいけれど、お話は十分おできになるみたい。
「お目にかかって安心いたしました。それほどご重態とは見えませんのに、中将が驚きあわてて知らせてまいりましたから、心配してお見舞いに上がったのでございます。本当はもっと早くお伺いすべきでしたが、近ごろは内裏にもほとんど上がらず家に籠っておりまして、ご無沙汰をして失礼いたしました。私よりもっと年を取った人でも、腰を曲げながら内裏でお役目を果たしていると申しますのに、私はまことに怠け者でございます」
「この年になれば体が弱ってくるのも仕方がないと思っていましたが、今年に入っていよいよお迎えが近いような気がしましてね、最後にもう一度あなたにお会いしたいと思っていたのですよ。今日こうしてお目にかかれましたから、また少し寿命が延びた気がします。命が惜しい年でもありませんけれど。
夫や子どもに先立たれてしまった人のことを、あれはつらそうだ、ああはなりたくないと思っていましたから、早くお迎えがきてほしいと願う一方で、中将が実に親切に看病してくれましてね。その姿を見ると、中将はもちろんあの姫のことも気にかかって、それで今日まで生きながらえてきたのです」
ひたすらお泣きになって、お声はお気の毒なほど震えているの。
大宮様は婿君のご訪問におよろこびになった。
ご病気の苦しさも消えるような心地がして、起き上がっていらっしゃるの。
ひじ置きにもたれながら座っていらっしゃるご様子は弱々しいけれど、お話は十分おできになるみたい。
「お目にかかって安心いたしました。それほどご重態とは見えませんのに、中将が驚きあわてて知らせてまいりましたから、心配してお見舞いに上がったのでございます。本当はもっと早くお伺いすべきでしたが、近ごろは内裏にもほとんど上がらず家に籠っておりまして、ご無沙汰をして失礼いたしました。私よりもっと年を取った人でも、腰を曲げながら内裏でお役目を果たしていると申しますのに、私はまことに怠け者でございます」
「この年になれば体が弱ってくるのも仕方がないと思っていましたが、今年に入っていよいよお迎えが近いような気がしましてね、最後にもう一度あなたにお会いしたいと思っていたのですよ。今日こうしてお目にかかれましたから、また少し寿命が延びた気がします。命が惜しい年でもありませんけれど。
夫や子どもに先立たれてしまった人のことを、あれはつらそうだ、ああはなりたくないと思っていましたから、早くお迎えがきてほしいと願う一方で、中将が実に親切に看病してくれましてね。その姿を見ると、中将はもちろんあの姫のことも気にかかって、それで今日まで生きながらえてきたのです」
ひたすらお泣きになって、お声はお気の毒なほど震えているの。



