年が明けた。
源氏の君は二月に姫君の裳着を行うつもりでいらっしゃる。
<これまでは結婚前の娘ということで、とくに氏神様にお参りする必要はなかった。しかし宮仕えするとなったら、氏神様にご報告しなければならないだろう。源氏の娘として勝手に内裏に上げてしまったら、藤原氏の氏神様がお怒りになる。やはり内大臣の娘であると公表してしまった方がよい。どうせいつか誰かが気づくだろうし、私に悪意があったかのように噂されたら困る。
なんだかんだ言っても、やはり親子の縁は他人が簡単に切れるものではない。どうせならきちんと私からお知らせしよう>
裳着の儀式で姫君の腰ひもを結ぶお役目を、内大臣様にお願いなさった。
そこで姫君が内大臣様のお子であると打ち明けるおつもりなの。
でも、あいにく大宮様が去年の冬からご病気でいらっしゃる。
「母が重病ですので、そのような晴れがましいお役目は」
とご辞退なさった。
近ごろは若君も祖母君のご病床につききりでいらっしゃるわ。
源氏の君はお困りになる。
<どうしたらよいだろう。大宮様がお亡くなりになれば、姫君も孫として喪に服されなければならない。今のままでは他人だから喪服を着られず、罰当たりなことになってしまう。やはり大宮様がご存命のうちに裳着を行って内大臣の娘だと公表しなければ。とにかく内大臣と直接話をしよう>
そうお考えになって、大宮様のお屋敷にお見舞いに行かれた。
源氏の君は二月に姫君の裳着を行うつもりでいらっしゃる。
<これまでは結婚前の娘ということで、とくに氏神様にお参りする必要はなかった。しかし宮仕えするとなったら、氏神様にご報告しなければならないだろう。源氏の娘として勝手に内裏に上げてしまったら、藤原氏の氏神様がお怒りになる。やはり内大臣の娘であると公表してしまった方がよい。どうせいつか誰かが気づくだろうし、私に悪意があったかのように噂されたら困る。
なんだかんだ言っても、やはり親子の縁は他人が簡単に切れるものではない。どうせならきちんと私からお知らせしよう>
裳着の儀式で姫君の腰ひもを結ぶお役目を、内大臣様にお願いなさった。
そこで姫君が内大臣様のお子であると打ち明けるおつもりなの。
でも、あいにく大宮様が去年の冬からご病気でいらっしゃる。
「母が重病ですので、そのような晴れがましいお役目は」
とご辞退なさった。
近ごろは若君も祖母君のご病床につききりでいらっしゃるわ。
源氏の君はお困りになる。
<どうしたらよいだろう。大宮様がお亡くなりになれば、姫君も孫として喪に服されなければならない。今のままでは他人だから喪服を着られず、罰当たりなことになってしまう。やはり大宮様がご存命のうちに裳着を行って内大臣の娘だと公表しなければ。とにかく内大臣と直接話をしよう>
そうお考えになって、大宮様のお屋敷にお見舞いに行かれた。



