源氏の君は恥ずかしくなってしまわれる。
「古風で世間知らずな方なのです。おとなしくなさっていればよろしいのに、しゃしゃり出てこられては私まで恥をかく。しかしお返事は差し上げてください。亡き常陸の宮様がたいそう大切になさっていた姫君ですから、軽いお扱いをしては申し訳ない方です」
贈り物の箱のなかにもお手紙が入っていた。
「自分に腹が立ってしまいます。あぁ、唐衣。あなたのおそばにいられないのですもの」
もともと堅苦しいご筆跡だけれど、お年を召してさらに頑固な印象になっている。
源氏の君はもはやあきれてお笑いになる。
「ずいぶんがんばってお考えになったのだと思いますよ。昔はそれなりに頼りになる女房がお仕えしていたけれど、今はご自分でお書きになるしかないから。こちらのお返事は私が書くとしよう」
皮肉をこめてお書きになった。
「これほどまでにめずらしいお心遣いはご無用でしたのに。あぁ、唐衣、唐衣」
「唐衣がお好きな方でいらっしゃいますからね」
玉葛の姫君に、ご自分が書いたお返事をお見せになる。
姫君は明るくお笑いになって、
「おからかいになってはお気の毒でございます」
とおっしゃった。
あら嫌だ、これこそ無用なことばかり長々と書いてしまったわ。
「古風で世間知らずな方なのです。おとなしくなさっていればよろしいのに、しゃしゃり出てこられては私まで恥をかく。しかしお返事は差し上げてください。亡き常陸の宮様がたいそう大切になさっていた姫君ですから、軽いお扱いをしては申し訳ない方です」
贈り物の箱のなかにもお手紙が入っていた。
「自分に腹が立ってしまいます。あぁ、唐衣。あなたのおそばにいられないのですもの」
もともと堅苦しいご筆跡だけれど、お年を召してさらに頑固な印象になっている。
源氏の君はもはやあきれてお笑いになる。
「ずいぶんがんばってお考えになったのだと思いますよ。昔はそれなりに頼りになる女房がお仕えしていたけれど、今はご自分でお書きになるしかないから。こちらのお返事は私が書くとしよう」
皮肉をこめてお書きになった。
「これほどまでにめずらしいお心遣いはご無用でしたのに。あぁ、唐衣、唐衣」
「唐衣がお好きな方でいらっしゃいますからね」
玉葛の姫君に、ご自分が書いたお返事をお見せになる。
姫君は明るくお笑いになって、
「おからかいになってはお気の毒でございます」
とおっしゃった。
あら嫌だ、これこそ無用なことばかり長々と書いてしまったわ。



