裳着の儀式の当日、大宮様から遠慮がちにお祝いが届いた。
急なことだったのに、櫛の箱など、とても美しい贈り物が整えられている。
「尼の私がお祝いするのも縁起が悪いかと思いますが、この長生きだけはあやかっていただきますように。源氏の君からご事情は聞きました。よくぞ名乗り出てくださいましたね。私にとっては内大臣のお子でも源氏の君のお子でも、どちらでもよいのですよ。源氏の君は亡き娘の婿君ですから、どちらからしてもあなたは私の大切な孫です」
お手紙は震えた字で書かれていた。
源氏の君はご覧になっておっしゃる。
「痛々しいご筆跡だ。昔は達筆でいらっしゃったけれど、お年には勝てないものですね。ご病床で、震えるお手でお書きくださったのだろう」
急なことだったのに、櫛の箱など、とても美しい贈り物が整えられている。
「尼の私がお祝いするのも縁起が悪いかと思いますが、この長生きだけはあやかっていただきますように。源氏の君からご事情は聞きました。よくぞ名乗り出てくださいましたね。私にとっては内大臣のお子でも源氏の君のお子でも、どちらでもよいのですよ。源氏の君は亡き娘の婿君ですから、どちらからしてもあなたは私の大切な孫です」
お手紙は震えた字で書かれていた。
源氏の君はご覧になっておっしゃる。
「痛々しいご筆跡だ。昔は達筆でいらっしゃったけれど、お年には勝てないものですね。ご病床で、震えるお手でお書きくださったのだろう」



