それからやっと、源氏の君は玉葛の姫君のことをお話しになった。
「なんとまぁ、思いがけないことでございます」
内大臣様は涙をこぼされる。
「何かのついでにお話し申し上げたことがあったかと存じますが、その子は私がずっと探していた娘でございます。あちこちで育っていた子どもたちをようやく近ごろ集めておりますが、その子たちを見るたびに、誰よりもまずあの娘のことが気になっていたのです」
もう二十年近く前、雨の夜に内裏の桐壺で女性談義をなさったことを思い出される。
あのころに戻ったかのように、おふたりで泣いたり笑ったりなさった。
「こんなふうにこのお屋敷で語り合いますと、遠い昔のことを思い出します。亡くなった妻のことも。懐かしくて帰りがたい」
お酒のせいかしら、めずらしく気弱になった源氏の君がお泣きになる。
大宮様も亡き姫君のことを思い出して、
<あの子が生きていたら。こんなにもご立派になられた源氏の君の、せっかくのご正妻だったのに>
とお泣きになった。
「なんとまぁ、思いがけないことでございます」
内大臣様は涙をこぼされる。
「何かのついでにお話し申し上げたことがあったかと存じますが、その子は私がずっと探していた娘でございます。あちこちで育っていた子どもたちをようやく近ごろ集めておりますが、その子たちを見るたびに、誰よりもまずあの娘のことが気になっていたのです」
もう二十年近く前、雨の夜に内裏の桐壺で女性談義をなさったことを思い出される。
あのころに戻ったかのように、おふたりで泣いたり笑ったりなさった。
「こんなふうにこのお屋敷で語り合いますと、遠い昔のことを思い出します。亡くなった妻のことも。懐かしくて帰りがたい」
お酒のせいかしら、めずらしく気弱になった源氏の君がお泣きになる。
大宮様も亡き姫君のことを思い出して、
<あの子が生きていたら。こんなにもご立派になられた源氏の君の、せっかくのご正妻だったのに>
とお泣きになった。



