野いちご源氏物語 二九 行幸(みゆき)

内大臣(ないだいじん)様がご子息(しそく)たちをたくさん引き連れて訪問なさるご様子は、威厳(いげん)があって頼もしい。
お背が高くて貫禄(かんろく)のある立派なお姿よ。
一分(いちぶ)(すき)もない格式ばった格好がよくお似合いになる。
お待ちになっていた源氏(げんじ)(きみ)は、ゆるやかな皇子(みこ)らしいお着物をお召しになっている。
優美でお美しいの。
これは見る人によって勝負が変わるでしょうね。
いくら光るような源氏の君といえど、ここまでお整えになった内大臣様のご立派さには(かな)わないという人もいれば、外見をどれほど立派にしても内側から光る高貴(こうき)さには敵わないという人もいるでしょう。

内大臣様のご子息たちも皆様お美しい。
ご子息以外の貴族たちもお(とも)をして来ている。
内大臣様の周りに集まるのは華やかな人が多い。
お屋敷は一気に明るくにぎやかになった。
お酒を飲んでは、
「大宮様はすばらしいご子息や孫君(まごぎみ)に囲まれてお幸せだ」
と言っている。